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2015年5月17日 (日)

『【特別展】上村松園 生誕140年記念 松園と華麗なる女性画家たち』参観記

本日参観した『【特別展】上村松園 生誕140年記念 松園と華麗なる女性画家たち』は、「『一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香(かおり)高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである』と語った日本画家・上村松園 (1875-1949)2015年は、女性で初めて文化勲章を受章した松園の生誕140年にあたります。これを記念し、松園を中心に、近代・現代日本画壇における女性画家たちに注目した展覧会を開催いたします。『西の松園、東の清方』と並び称され、清らかで端正な女性像を手がけた松園は、近代日本画を代表する重要な存在として位置付けられています。1890(明治23)年、皇室による日本美術の保護と作家の制作奨励のため帝室技芸員制度が設けられ、1944(昭和19)年までに79名が任命されました。松園もその一人であり、男性作家が大半を占める中でその栄誉を受けたことは、女性の社会的な立場や活動の場が限られていた時代ながら、画家として高く評価されていたことを示しています。近年では、社会で華々しく活躍する女性が増えてきています。それでもなお、仕事、家庭、子育て、介護など公私に渡る人生の様々な局面において、どう生きるかという問題に直面している女性は少なくないでしょう。本展では、激動の時代を画家として歩んだ女性としての姿や生き方にも焦点をあてます。それぞれの画家の言葉や作品を通して、そのユニークな視点や多彩な表現をご覧いただきます」(案内文)との趣旨で開催された。

上村松園《蛍》《新蛍》《夕べ》 《砧》《春芳》《娘》《詠哥》《牡丹雪》《庭の雪》《杜鵑を聴く》、野口小蘋《上巳雛祭図》 《設色美人図》 《西園雅集図》 《幽壑閑居図》《芙蓉夏鴨》 《箱根真景図》、竹内栖鳳《潮来小暑》、横山大観《富士山》川合玉堂《朝晴》、 鏑木清方《伽羅》、小倉遊亀《舞う》 《涼》、 片岡球子《北斎の娘おゑい》、 北沢映月《想(樋口一葉) 等の名品を参観。

美人画というのは、伊藤深水、鏑木清方、東郷青児などによって描かれているが、私は上村松園の作品が最も好きである。日本女性の美しい姿が丁寧にそして清らかに描かれてゐると思う。また、描かれてゐる美人が着てゐる着物もまた美しい。

上村松園は「私は大てい女性の絵ばかり描いている。しかし、女性美しければいい、という気持ちで描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香(かおり)高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。その絵を見ていると邪念の起こらない、またよこしまな心をもっている人でも、その絵に感化されて邪念が浄められる……といった絵こそ私の願うところのものである。芸術を以て人を済度する。これくらいの自負を画家はもつべきである。よい人間でなければよい芸術は生まれない。これは絵でも文学でも、その他の芸術家全体にいえる言葉である。よい芸術を生んでいる芸術家に、悪い人は古来一人もいない。みなそれぞれ人格の高い人ばかりである。真・善・美の極致に達した本格的な美人画を描きたい」と書いている。

これはまことに素晴らしい言葉である。松園の描いた美人画は、単に美しい女性が描かれているのではではなく、高い品性というか、品格というか、視覚で感じられる「美」以上の精神的美しさがあると思う。私は近代の日本画家では男性では横山大観、女性では上村松園が好きである。

 

松園は、「よい人間でなければよい芸術は生まれない。これは絵でも文学でも、その他の芸術家全体にいえる」と述べている。まことにその通りと思う。小生は、和歌を詠むが、当然のことながらなかなかそのような境地に達していない。大歌人と言われる方々には、まさに「真・善・美」の極致に達した歌がある。永遠の価値を持つ芸術には、洋の東西を問わず、時の今昔を問わず、そこに不滅の崇高さがある。

 

今日参観した松園の美人画では《牡丹雪》《砧》が大変素晴らしいと思った。数多くの松園の作品を見た後、小倉遊亀の《舞う》 《涼》、 片岡球子の《天龍寺開山夢窓国師》《北斎の娘おゑい》という作品を見たのだが、これもまた松園の作品とは全く違った雰囲気であるが、実に見事で迫力があり、描かれている人物の表情に実に強い個性がある。戦後日本の女性画家ではやはりこのお二方が偉大であると思う。

 

上村松園は昭和十九年、皇室による美術の保護奨励の制度として明治から続く帝室技芸員に選ばれた。松園は女性として選ばれた二人目の帝室技芸員である。女性初の帝室技芸員は、明治三十七年に選ばれた南画家・野口小蘋である。その晩年の代表作《箱根真景図》が展示されていた。

帝室技芸員の制度は、戦後になって廃止された。芸術家の顕彰、美術の保護奨励の制度は、重要無形文化財制度、日本芸術院会員への認定などに引き継がれたという。

四宮 正貴さんの写真

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