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2015年4月12日 (日)

『ボストン美術館/東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美』展参観記

『ボストン美術館/東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美』展は、

 

「アメリカ、ボストン美術館と東京藝術大学のふたつのコレクションを合わせる“ダブル・インパクト”によって、19世紀後半からはじまる日本と西洋との双方向的な影響関係を再検討しようとする展覧会です。

 

言うまでもなく、開国以来、日本は常に西洋からの衝撃(ウェスタン・インパクト)を受けつつ近代化をはかりました。一方、来日した西洋人たちはニッポンの文化、芸術に驚き、インパクトを受けていました。

 

これまで日本人がいかに西洋から衝撃を受けたかについては多く語られてきたものの、西洋人が日本からどのような衝撃を受けたかについては、いわゆるジャポニスムという範囲でしか語られてきていませんでした。しかもそれは、ほとんどフランスを中心としたヨーロッパ美術に限られた関係にとどまるものでした。もちろん、西洋人一般が日本の浮世絵を賞賛したことは「ジャパニーズ・インパクト(日本からの衝撃)」の象徴的出来事でした。

 

しかし、実際に幕末明治期に日本に訪れた西洋人たちは、驚きのまなざしをもってそこに暮らす日本人と同時代の日本美術とを発見し、紹介していたのです。本展で紹介する東京藝術大学のコレクションはウェスタン・インパクトの象徴、ボストン美術館の近代コレクションはジャパニーズ・インパクトの象徴とみることができるでしょう。

 

本展では、このふたつのコレクションを合わせることによってあらわれる、

「明治ニッポンの美」の歩みを紹介してまいります』(案内書)との趣旨で開催された。

 

ボストン美術館には、明治10年代に相次いで来日したアーネスト・フェノロサやウィリアム・ビゲロー、ボストンに渡った岡倉天心らによって収集された作品を中心に、現在10万点を超える日本美術作品が収蔵されている。東京藝術大学は、明治20年に設置されて以来収集された美術品及び、開校後、歴代の教官たちや卒業生たちが残していった作品が収蔵されている。その中から、今回に展覧会の趣旨に合った作品が展示されていた。

 

高橋由一「花魁(美人)」、橋本雅邦「雪景山水図」、鈴木長吉「水晶置物」、旭玉山「人体骨格」、井上安治「東京名所従吾妻橋水雷火遠望之図」、ヴィンチェンツォ・ラグーザ(イタリア)「日本婦人」、小林永濯「菅原道真天拝山祈祷図」、狩野芳崖「悲母観音」、横山大観「村童観猿翁」、竹内久一「神武天皇立像」、小林清親「冒営口厳寒我軍張露営之図」、山本芳翠「西洋婦人像」、鈴木長吉「水晶置物」、豊原国周「皇后宮御製唱歌」、ヴィンチェンツォ・ラグーザ「日本の大工」などを観る。

 

鈴木長吉「水晶置物」は、台座の力強く緻密な彫刻が素晴らしい。ヴィンチェンツォ・ラグーザ「日本の大工」は、まるで生きているようで、今にも話しかけてくるように思えた。狩野芳崖「悲母観音」は、この美術館で何回も鑑賞したが何時見て感動する。母親の子供への愛が見事に描かれている。横山大観「村童観猿翁」は、初期の作品〈東京美術学校卒業制作〉であるが、子供たちの表情が巧みにかわいらしく描かれている。

 

竹内久一「神武天皇立像」はまことにおおきな御尊像で、明治二十二年の制作。この年に創刊された美術雑誌『国華』第一号で岡倉天心は、「絵画の将来を思ふに…歴史画は國體思想の発達に随いて益々振興すべきものなり」と論じた。この時期の「大元帥陛下御真影」(作者未詳)、小林永濯「天瓊を以て滄海を探るの図」、高橋由一「日本武尊」などが展示されていた。

 

 

明治日本は、近代世界において力強い歩みを遂げたのであるが、美術の世界においても然りであった。欧米諸国において、日本の美術は高く評価された。西洋の影響を受けながら、わが国の美的伝統と融合し、高い美的世界を生み出したと思う。

 

東京藝術大学においてもボストン美術館においても、岡倉天心の大きな貢献をした事がよく分かる。日本近代美術史において岡倉天心はまことに大きな位置を占めていると思う。

 

歴史の勉強にもなり、大変見ごたえのある展覧会であった明治時代は「脱亜入欧」文明開化』の時代であったなどといわれるが決してそうではない。日本の伝統文化文明と西欧の文明文化とを融合させ、さらに高度にした時代であったのである。

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