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2015年4月13日 (月)

フリージャーナリスト・福島香織さんの「香港と台湾 そして東アジアの行方」と題する講演の内容

二月七日午後二時より、内幸町の日本プレスセンターにて『アジア問題懇話会』開催もむフリージャーナリストの福島香織さんが「香港と台湾 そして東アジアの行方」と題して講演し、次のように語った。

 

「台湾のひまわり学生運動は成功。香港の雨傘運動が起きた。この二つは連動している如し。習近平政権になって香港の高度な自治権への危機感が起った。メディアが中国化した。『サウスチャイナモーニングポスト』などのメディアに『人民日報』の社説引用記事が増えた。二〇一〇年から香港メディアを使って香港をコントロールし始めた。二〇一一年、『愛国教育カリキュラム』の推進、中国人としての誇りと帰属意識を養う教育が行われるようになった。これにティーンエイジャーが反発。

 

二〇一二年、ティーンエイジャーが激しいデモを行い、教育カリキュラムをあきらめさせた。しかし現実には香港の学校で愛国教育が始まっている。去年六月一〇日、国務院は、『香港は中国の地方政府に過ぎない』という見解を表明。今の香港政府は、中国の傀儡政権になっている。中国に逆らえないようにする条例をつくろうとしている。市民は報道・言論の自由が奪われることに恐怖を感じている。香港人は中国に不信感を持っている。胡錦濤政権の時は、香港に強引なことができなかった。

 

七十九日に及ぶ雨傘運動は九百人の逮捕者を出しながら、失敗に終わった。しかし参加学生は、『ノンポリが多かった香港市民と若者との間で現状に対する危機感の共有が出来た。これは終わりではなく始まりだ。敗北ではない』と語っていた。劉夢隈元政協委員は、『胡錦濤政権までは、香港の政治的立場は尊重されていた。だが習近平政権は尊重しなくなった。それが雨傘運動の背景。運動はまた起こる。香港人の民主希求は強まった。この運動に勝者はいない。中国政府は勝者となっていない。香港の反中国感情はむしろ高まった。中国政府は香港の普通選挙を認めるべきだった』と語った。

 

台湾は政治の潮目が変わったという気がする。民進党の蔡英文氏は好ましい人。国民党は中国べったり政策を取れなくなった。統一地方選挙での国民党の敗因は、①既存政治への有権者の幻滅。②ひまわり学生運動による台湾アイデンティティの広がり。③若者の投票率の高まり。若者には金権投票が効かない。④馬英九路線、親中国経済政策への危機感。台湾は民主が正常に機能した。

 

香港には民主がない。香港市民には、香港がどうなるか分からないという危機感があり、カナダ・英国のパスポートを欲しがっている。中国の留学生が香港の学生運動に参加しないようにするために中国の特務が香港に入っている。今後、アメリカの関与がないとは言えない。香港は親日的な人が多い。中華意識を持っている人は、大陸から来た人と国民党寄りの人。社会現象的に親日映画はヒットするが、反日映画はヒットしない。香港人は日本人が好き。『ヤクルト』と『紙おむつ』が好き。

 

台湾と香港に共通しているのは、中国への嫌悪感。両国政府とも、中国経済によってGDPが上昇していると言う。しかし、若者の暮らしは悪くなっている。中国の金持ちが不動産を投機的に買うため、家賃・不動産が高騰している。中国資本のチェーン店が席捲して安価な食堂などの個人商店が消えゆく運命にある。中国人観光客が喜ぶように見慣れた街並みが変化。両国政府が推進する愛国教育によってこれまで馴染んできた価値観が変化。習近平政権の文化ソフトパワー戦略の一環で中華文化が浸透。この結果、香港、台湾でアイデンティティの見直しが起こり、それが民主化運動に発展した。中国式グローバリズムへの抵抗運動ではないのか」。

 

 

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