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2015年3月18日 (水)

『アジア太平洋交流学会』における王明理台湾獨立建國聯盟日本本部委員長の講演内容

昨年十二月十三日に開催された『アジア太平洋交流学会』における登壇者の発言は次の通り。

 

久保田信之氏「国民党は終戦後、日本が残した資産を台湾のためではなく国民党のものにした。世界一豊かな政党が国民党。台北市長選挙で国民党が敗北。王明理さんのお父さんは、台湾は中国の一部ではないという運動をしていた。王明理さんは父上の遺志を継いで台湾独立聯盟日本本部委員長をしておられる。ひまわり学生運動は中国の強引な政策に対して立ち上がった整然とした運動」。

 

 

王明理台湾獨立建國聯盟日本本部委員長「私は両親が台湾人。日本で育った。父は台湾から亡命し、台湾独立運動を行い、台湾に帰ることができなかった。台湾独立を目指す台湾青年社を結成した。中華民国体制からの脱却を目指した。国民党一党独裁の打倒も目指した。それはある意味では目標を達成した。しかし、台湾は主権独立国家になっているのに、中国の圧力によって国際的に認められていない。二十二か国以外は台湾と正式な外交関係を持っていない。ユネスコなどに入ることができない。国際的に認知されることを目的にして台湾独立運動をしている。

 

『九合一選挙』(昨年1129日に台湾で実施された統一地方選挙。六大直轄市長をはじめ9つのレベルの選挙が同時に行われるためとこう呼ばれ。2016年に予定されている総統選挙の前哨戦と位置づけられているため、事実上、国政選挙並みの盛り上がりを見せた・注)では立法院選挙・総統選挙以外の全ての選挙をした。高雄市の投票率は六八%。選挙への関心が強い。若い人が熱心。戸籍知でしか投票できない制度なので、大学生・サラリーマンは選挙の時に故郷に帰らねばならない。学生たちはバスをチャーターして故郷に帰って投票した。交通費を出す大学もあった。『自分の故郷は自分で救おう』という幟を作った。大人たちはそれを見て感激し意識を高めた。人民が勝利し、国民党が大敗した。台湾の民主主義は日本に追いつこうとしている観あり。馬英九は国民党主席を辞任した。

 

台湾の選挙は歴史が薄い。李登輝先生が総統になって民主化した。中共はミサイルを撃ったが逆効果なにって、李登輝氏が選出された。中共は二千発のミサイルを台湾に向けている。台北市長台北市長に柯文哲氏が当選。医者が国民党のエリートに勝った。国民党の候補は連戦の息子の連勝文。中国の太いパイプあり。柯文哲氏は民進党の応援を断った。ひまわりの人たちが参謀になって選挙を戦った。余った選挙資金を病院関係に寄付した。柯文哲氏は『透明性のあるオープンな政治をやりたい』と言った。

 

原住民は何故国民党寄りなのか。十六種族それぞれ言語が異なる。横のつながりはなく、他の部族と闘争して来た。いまだに日本語を話す。平地の台湾人への恨みが深い。国民党はそれを利用した。二二八の時も山地の人たちは関係なかった。民進党の力が及んでいない。

 

台湾の女性は強い。その面では日本より進んでいる。移民の国は女性の数が少ないので、大事にされ、女性が強くなる。

 

中国は台湾を併呑しようとしている。中国と結託している国民党への『ノー』が今回の選挙。『海峡両岸サービス貿易協定』(海峡両岸におけるサービス貿易制限を解除し、マーケットを互いに開放し、貿易の自由化に達することを目標とする協定・注)により中国人労働者が台湾に入って来る。メディアも中国に取られてしまう事への『ノー』。中国に台湾を売り渡すことに反対した。政府の傾中態度に対する国民の意思表示。若者たちは一党独裁の中国に台湾を売り渡してはならないと考えた。

 

ひまわり学生運動に外省人・台湾人の区別はない。二・三世の人たちは自分の故郷は台湾であるという意識。台湾語を使い。台湾の歌を歌い、台湾人の若者と仲が良い。民主主義は守らねばならないという考え。若者が中高年世代を説得。民度の高い国になって来ている。香港の学生運動の影響あり。中国の一国二制度が嘘であることが明らかになった。自治区とは名ばかり。香港の学生運動が排除されたのは、中国が台湾選挙への影響を恐れたから。連戦・郝柏村などの国民党重鎮は老齢化。息子はドラ息子。台湾人は自分たちがしっかりしなければならないことに目覚めた」。

 

澁谷司氏拓殖大学教授「国民党敗北の最大の理由は、台湾の経済が悪いこと。成長率が伸びていない。馬英九と王金平の仲が悪い。国民党は事実上分裂。メディアの八割は国民党系。しかし学生はネットを見る。フェイスブック、ツイッターを見ることによって自由なものの見方になっている。国民党の洗脳ができなくなった。香港で学生がいじめられている実態を見て、若者たちは国民党に投票しなかった。また学生には買収は効かない。若者の失業率が高い事への不満。総統選では蔡英文が当選してほしいが、立法院選挙・国政選挙は意外と国民党に有利。民進党は政党らしくなってほしい。台湾・韓国は中国と付き合うようになって経済が悪化した。ドイツも然り。マイナス成長になっている。中国と付き合うと経済が駄目になるというのが世界の常識。中国が武力統一をしようとしたらアメリカが出てくる。プラスワンの日本はどう台湾を助けることができるのか。安倍政権が続く限り台湾は少し安心」。

 

          〇

 

千駄木庵主人曰く。王明理さんは、台湾獨立運動の指導者、故王育徳先生の令嬢である。小生は、王育徳先生には、生前色々とご指導をいただいた。王育徳先生の兄上は「二・二八事件」で国民党政権によって逆殺された。王育徳先生は、日本に亡命され、日本で台湾独立運動に挺身された。台湾が民主化される前に逝去されたので、ついに台湾に帰国することができなかった。あと二、三年長生きされていたら、いわゆる「台湾民主化」が実現して。故郷にお帰りになることができたと思うと本当に残念である。どんなにお帰りになりたかったことであろうか。王育徳先生は、六十一歳にてお亡くなりになったとのこと、私が六十八歳であることを考えると、余りにも早すぎた。私よりも七歳も若くして亡くなられたことに深い悲しみ覚える。お会いして色々お教えいただいた時は、王先生は今の私よりお若かったのである。思い出すのは、私がある新聞の記者をしていた時、銀座の住宅印刷に度々校正に行った。或る日、そこに王先生は「台湾人元日本兵士の戦後補償問題を考える会」の機関誌の校正にたった一人で来ておられた。原稿の字数が多くて、なかなか紙面に入りきることができず、苦労しておられた。そして私のぽつりと申された。「これは本当は日本人がやるべき事なのだよ」と。私はそのお言葉を聞いた時、本当に胸が痛くなった。今でも昨日のことのように思い出される。王育徳先生は、今日、王明産さんが台湾独立建国聯盟日本本部委員長として頑張っておられることをどんなにか喜んでおられることであろうか。王育徳先生のご冥福を心よりお祈りする。

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