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2015年3月 1日 (日)

シンポジウム「日中若手研究者が語り合う新たな両国関係」における登壇者の発言

昨年の十二月四日に行われた 「第86回 日中若手研究者が語り合う新たな両国関係」における登壇者の発言は次の通り。

小原凡司氏(東京財団研究員)「日中関係はまだ厳しい状況。日中は戦争をしてはならないという認識は共通している。海上メカニズムに代表される危機管理メカニズムは構築されている。認識の違いの曖昧さで日中関係はうまく行くことはできない」。

 

楊伯江氏(中国社会科学院日本研究所副所長)「日中関係の行く末は世界に対して責任がある。日中両国の行く末は世界の平和に責任がある。この地帯の秩序を保つ責任がある。戦略的転換期にある。安倍政権も転換期にある。日本は多民族国家ではなく同一言語のコミュニケーションで困ることはない。戦後復興している。中国に対して寛容に見てもらいたい。中国は改革開放の出発点にいる。軍事費は伸びているが、日本も高度成長期に十年間で二ケタ伸びた。鄧小平は『軍事発展は経済成長に道を譲らなければならない』と言った。中国は隣国に寛容である」。

 

呉懐中氏(中国社会科学院日本研究所政治室主任)「日中両国とも関係改善を探っている。相手の欠点だけを見るのではなく、相手国のすぐれたところを学ぶことが大事。中国側の日本への関心は、アベノミックスの将来について、金融債務のリスクはどのくらいあるのか、少子高齢化・介護の問題をどう解決するのか、移民をどうするのか、国民の中国への感情。歴史的に引き継がれた家庭や社会の構造に変化はあるのか、政治の右傾化、などがある。一部の政治家の歴史観は日本の国益に合わないのではないか。日中関係は難しくても、一つ一つ物事を解決していくことが必要。中国文化には数千年の歴史があり、調和の価値観を持っている。外国の人に全てを分かってもらうのは難しい。外交には強硬な面とソフトな面がある。長期的な関係悪化は双方の利益にならない。安保面で緊迫した場面になれば冷静になるべし。軍事的相互信頼を深めることが大事。互恵の協力をすべし」。

 

加茂具樹氏(慶應義塾大学総合政策学部准教授)「日本と中国は経済面で運命共同体の面がある。日中はアジア太平洋に貢献する共通の未来像を構築すべきだ。日中間の問題点をあいまいにして議論を先に進めることは避けよう。相手国の社会に対する認識の差が何処にあるのかを丁寧に掘り下げていくことが必要。日本を取り巻く国際環境の変化が日本の政策に影響している。日中間の協力をどの面でどのように進めていくかが一番の問題。環境問題・少子高齢化にどのように対処するのか。日本側も中国側も相手国に対してステレオタイプ的見方をしている。我々は中国に対して日本のことを発信する必要あり。日本の発信力が重要。戦略的互恵関係という言葉の裏にある日中の違いが何処にあるのかを理解しなければならない」。

 

王春光氏(中国社会科学院社会科学研究所社会政策室主任)「何を以て言論の自由と言うのか。定義を共通にすべし。自分の尺度で相手国を測るのは問題あり。ドイツでは戦争肯定は規制されている。中国社会の言論は多様化している。日本はどのようなスタンスで管理すべきか。中国の言論は多様化し管理方法も多様化している。今、中国は模索している段階だから誤りもある。今日、法治を大切にしている。法によって言論をマネージしている。日本からの批判を歓迎する。双方の留学生が増えている。言論は大事。中国も発信力を強めるべし。中国には日本を讃える言論もたくさんある。ネットを見てほしい。観光は大きなチャンネル。『中国侵略』『南京大虐殺』と教科書に書いてあると反日教育でしょうか。私は反日教育を受けたとは思わない。中国教科書を反日と断定すべきではない。高倉健は大好き」。

 

胡澎氏(中国社会科学院日本研究所日本社会研究室主任)「日本は素晴らしい経済ベースがある。国民は豊か。中国は発展途上国。そこに認識の違いがある。改革開放で中国は変化。少しづつ自由になっている。先進国は変化する面を見てほしい。建国百年の時、偉大な中国、健康な中国になりたい。中国の若い人は抗日戦争の映画を見て怨みを持つが、日本のアニメも見ている。年間二百万人が日本に来ている。日本人の礼儀正しさもネットで紹介されている。日本政府はビザをもっと緩やかにしてもらいたい」。

 

張明氏(中国社会科学院世界経済と政治研究所国際投資研究室主任)「経済成長は消費牽引型になる。経済構造がサービス業にシフトしている。人件費が上がっている。日本の投資が貢献した。最近は中国の直接投資は低下している。日本の投資を歓迎する。老人問題・環境問題で日本の協力を得たい。原発が増えるが、リスクにどう対処するか日本に学びたい」。

 

徐梅(中国社会科学院日本研究所研究員、経済研究室主任)「経済関係を密接にすべし。環境問題で、日本の技術と経験が本当に必要。省エネ型の住宅も必要。中国企業に日本市場の中での機会を与えてもらいたい。中国は豊かになる前に高齢化問題を抱えている。中日は協力が必要」。

 

小嶋華津子氏(慶應義塾大学法学部准教授)「私は『友好』という言葉で日中関係を括ることに懐疑的。空虚な友好は要らない。中国の暴走を食い止めること。合理的判断が出来る環境を日中の民間がつくるべし。国家の安定を前提とした言論の自由を中国の人々は強く認識している。日本の言論は多様化している。空気を読む」。

 

星野真氏(早稲田大学政治経済学術院助教)「生産年齢比率(生産活動に従事しうる年齢の人口の比率)は低下して行く。労働力と貯蓄率が減る。社会保障制度の財政支出が増える。そして軍事費への支出の自由度が減る。介護ビジネスで日本側も中国へ食い込んでいく余地あり」。

 

千駄木庵主人曰く「共産支那が、様々な面でわが国の協力を得たいのなら、まず以てわが國への軍事的圧迫、侵略策謀、そして歴史問題での理不尽な謝罪要求・反日教育を止めるべきである。それが大前提だ」。

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