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2015年1月18日 (日)

金田秀昭岡崎研究所理事(元護衛艦隊司令官)の講演内容

昨年十一月一日に内幸町の日本プレスセンターにて開催された『アジア問題懇話会』における岡崎研究所理事・金田秀昭(元護衛艦隊司令官)による「集団的自衛権行使で隙のない防衛を」と題する講演の内容は次の通り。

「集団的自衛権の行使は、色々な角度から見るべし。多面性がある。閣議決定の内容は本当の意味の集団的自衛権を容認したのではないのではないか。全面的に容認するには改憲が必要。しかし前進した。改憲まで行くのは難しい。今回の決定はあいまいなところがある。与党協議の結果くずれたような形にも見える。どこが限定的なのかはっきり決まっていない。

 

『国連憲章』では加盟国に原則として武力行使を禁止している。外部からの武力攻撃に集団的安全保障で対処。それまでの間、主権国家としての自衛権行使(個別的自衛権)は容認。しかし国連決定にはべらぼうな時間がかかる。個別の国がどこかの国から攻撃されたら、国連がまとまって動く。常任理事国のうち一カ国でも拒否権を発動すると国連軍を派遣できない。個別的自衛権だけでは駄目。そこで集団的自衛権という言葉が出て来た。

 

集団的自衛権は比較的新しい概念。集団安全保障措置とは全く違う。現実に攻撃されたという事実がなければ集団的自衛権は行使できない。国連安保理で国連軍がつくられたことはない。多国籍軍はボランティア。国連軍のような権限を持っていない。

 

『国際連合憲章』第51条には、『国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、加盟国は個別的・集団的自衛権を行使できる。加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない』とある。

 

自衛権は加盟国の固有の権利とされる。地域的な取り決めを国連は承認している。それが日米安保でありNATO。

 

国連の概念では集団的自衛権は自然権であり慣習法。集団的安保は『国連憲章』に依拠。日本における集団的自衛権の解釈は日本のご都合主義。その時の日本の置かれた立場で変わっている。

 

『日本国憲法』に自衛権という文言はない。一九四九年の『憲法』発布の時、吉田茂さんは『日本には憲法上自衛権はない』と明言。一九五〇年に自衛隊発足。一九五一年に『日米安保』に署名。憲法解釈変更。『九条一項は自衛権を否定していない』と吉田さんは言った。その時その場の政治的意味合いで解釈を変えた。一九五四年に、九条一項の解釈を変更し、必要最小限の自衛権を保有するとした。一九五九年に、田中耕太郎最高裁長官が集団的自衛権を容認。一九七二年内閣法制局は『憲法の容認する自衛措置を超えている』として集団的自衛権の行使を否認。『集団的自衛権は国際法上は保有するが、憲法上行使は不可』という解釈を出した。

 

一八八〇年のイライラ戦争では自衛隊派遣を断念。一九九一年のイラクのクウェート侵攻の時、私は防衛班長として政策の取りまとめをしている。邦人救出に百三十億ドル拠出したことになっているが、どこでどう使われたか未だに不明。これがトラウマになって今日に至っている。クゥェーが解放された時、各国の国旗が掲げられ感謝されたが、そこに日本の国旗は無かった。掃海部隊派遣の責任者を私がやり、クゥェーに入航させた。クウェートの新聞の一面に堂々と報道され感謝の言葉が述べられた。クゥェートの記念切手に日の丸が入るようになった。

 

一九九七年の『日米防衛協力指針』改定でも集団的自衛権に踏み込めなかった。二〇〇一年、アフガン開戦で調査研究の名目で米機動部隊を護衛。二〇〇九年、『海賊対処法』で国際貢献できた。

 

安全保障環境の変化・軍事環境の変化・中国北朝鮮の軍事動向・軍事バランスの変化=中国の抬頭がある。中国と韓国を除けば、日本の集団的自衛権行使を容認している。

 

自公協議というのがよく分からない。自衛隊は国民に信頼されている。讀賣ギャラップ調査で『あなたの国でどこの組織を信頼するか』という質問に、アメリカは軍、日本は自衛隊が一番。

 

安保法制懇を十回やって『国の存在を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障の整備』が閣議決定。武力攻撃に至らない侵害発生時への対処、警察機関と自衛隊などの緊急な協力、命令手続きの迅速化、PKO戦闘現場以外での後方支援は「武力行使の一体化」に当らない。平和協力活動に伴う武力使用を容認。

 

『憲法九条』下で容認される。個別的自衛権行使の三要素は、①自国への急迫不正な武力攻撃が発生したこと。②国民を守るために他に有効な手段がない事、③必要最小限度の実力行使に留まるべきこと。限定的な集団的自衛権行使の要素は、わが国に対する武力攻撃が発生し、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、及び幸福追求の権利が根底からが覆される脅かされる明白な危険があること。

 

警察・海保・自衛隊の連携の円滑化をために『領域警備法』が必要。警察が反対。小笠原に武装集団が侵入したらどうするか。警察はピストルしか持っていない。海上警備行動や治安出動は警察よりも弱い。逮捕権がない。権限が限定。弾道ミサイル発射警戒時の米艦艇防護。『国家安全基本法』を制定すべし。

 

三年前、漁船をチャーターした香港の人間が尖閣に上陸した。あの時、海保・警察を尖閣に駐留させればよかった」。

千駄木庵主人曰く。以前、自民党などから、「皇居・国会を自衛隊によって警備させたらどうか」という意見が出た時、警察庁は反対した。戦前は、近衛師団があった。文字通り皇室・皇居をお守りする軍である。自衛隊にも近衛師団を復活させるべきと考える。

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