この頃詠みし歌
新しき注連縄張りて新しき年を迎へることの喜び
西の空に夕日燃えつつ千駄木のビルは紅に染まりゐるかな
風雪に揺れるマストを見つめつつ閉じ込められしホテルの小部屋
湖北の空雲に覆はれ雪激し
嵐山はだらの雪を眺めつつ友と食する湯豆腐の味
吹雪の中走り行くなるバスに乗る旅人たちの不安なる心
竹生島に渡らむとすれど長浜の港は吹雪きて船は動かず
雪の夜は静かに更けて長浜の港の船は白き綿かぶる
彼方には青空見ゆれど激しくも雪降りて来る長浜の町
ピリピリと刺す如き寒さに耐えにつつ長浜の町の古寺を巡る
初詣の京の人々の群れに交じり我も上賀茂の神を拝ろがむ
恥多きこと多かりし若き日を悔やむ心のいや増して来る
シャワー浴びわが身浄めて一日の始まりとすることのすがしさ
天津祝詞唱へて今日を恙なく生かしめたまへと神に祈れり
苦しめる母に寄り添ひなすすべのなきを悲しむ生みの子われは
九十四歳老いませる母よ安らかに生きたまへとぞただ祈れる
介護施設の不注意がかくもわが母を苦しめることを悔しみてゐる
靴を磨くことを大切な行持とす わが足の歩み誤りなくあれ
父母の暮らせし部屋を掃除する 二人とも再び帰ることなし
父のみの父の遺影の懐かしき笑顔に向ひ経を誦しをり
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