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2014年11月18日 (火)

現代日本は「生命尊重」のみで魂が死んでしまい、頽廃と残虐の時代になってしまった

 三島由紀夫氏は次のように論じた。「われわれは戰後の革命思想が、すべて弱者の集團原理によって動いてきたことを洞察した。…不安、嫌惡、嫉妬を撒きちらし、これを恫喝の道具に使ひ、これら弱者の最低の情念を共通項として、一定の政治目的へ振り向けた集團運動である。」と(反革命宣言)。

 

 革命思想のみならず、戦後日本全体を覆ってきた精神が、「不安、嫌惡、憎惡、嫉妬」である。自分よりも富める者・幸福に見える者を憎み、嫉妬し、これを引きずり下ろそうという精神が國民に横溢している。それを煽り続けているのがマスコミである。

 

 三島由紀夫氏は、『瀧ヶ原分とん地は第二の我が家』(昭和四五年九月二五日発表)という文章で、「ここでは…利害關係の何もからまない眞の人情と信頼を以て遇され、娑婆ではつひに味はふことのない男の涙というものを味はった。私にとってはここだけが日本であった。娑婆の日本が失ったものがことごとくここにあった。日本の男の世界の嚴しさと美しさがここだけに活きてゐた。われわれは直接、自分の家族の運命を氣づかふやうに、日本の運命について語り、日本の運營について憂へた。……ぢかに足で踏みしめる富士山麓の日本の大地の足ざはりを以て、日本の危機と困難と悲運について考へることができた。……私は、ここで自己放棄の尊さと嚴しさを教へられ、思想と行爲の一體化を、精神と肉體の綜合の厳しい本道を教へられた。」

 

 これは、自決直前の昭和四十五年九月十日から十二日まで、陸上自衛隊富士學校瀧ヶ原分屯地學生五十名と共に体験入隊した時の文章である。

 

 三島氏は、祖國防衛のために一身を捧げる訓練をする自衛隊の中にのみ、「利害關係の何もからまない眞の人情と信頼」「自己放棄の尊さ」即ち眞の倫理精神、道義精神が生きており、戦後日本が失ったものがことごとくあるとし、自衛隊分屯地の中だけが日本である、と断じている。この三島氏の文章は、現代社會の腐敗・混乱・堕落の根源にあるものを示唆している。

 

 軍と武を否定した「平和と民主主義の國・戦後日本」には、眞の日本も、眞の道義精神も、武士道も、大和魂も、なくなっているでのある。

    

 三島氏はさらに言う。「文學・藝術の故郷は非合法の行動の暗い深淵に求められていくことになるであらう。…法はあくまでも近代社會の約束であり、人間性は近代社會や法を越えてさらに深く、さらに廣い。かつて太陽を浴びてゐたものが日陰に追ひやられ、かつて英雄の行爲として人々の稱贊を博したものが、いまや近代ヒューマニズムの見地から裁かれるやうになった」(行動學入門)と。

 長い日本の歴史の中で、須佐之男命・日本武尊という神話時代の英雄、さらに中古中世の鎮西八郎為朝、源義経、さらに近世・幕末における赤穂四十七士、井伊直弼を撃った水戸脱藩浪士の行動、さらに大東亜戦争における特攻隊員を始めとした兵士たちの行為などは、「英雄」と讃えられた。しかし、戦後日本は、そうした英雄の行為を「非合法」「反ヒューマニズム」として裁き日蔭に追いやった。

 

 「國のため敵を撃つ」「大君の御為に身命を捧げる」「仇なすものを討つ」などということは、「平和と民主主義」と絶対相容れない「行為」として、「日蔭」に追いやられ続けている。

 

 大和魂・武士道を否定し、「生命の尊重」が最高の道徳とされ、「平和と民主主義」を謳歌している今日の日本において、戦前どころか有史以来見られなかった凶悪にして残虐なる犯罪、殺人事件が続発している。

 

 三島由紀夫氏は、昭和四十五年十一月二十五日、市ヶ谷台状で自決された際の『檄文』で、「生命の尊重のみで、魂が死んでもよいのか」と訴えられた。まさに、現代日本は「生命尊重」のみで魂が死んでしまい、頽廃と残虐の時代になってしまった。

 

 『檄文』に曰く「軍の名を用ゐない軍として、日本人は魂の腐敗、道義の頽廃の根本原因をなして来てゐるのを見た。もっとも名誉を重んずべき軍が、もっとも悪質の欺瞞の下に放置されてきたのである」。

 

 魂の腐敗と國家の欺瞞は、軍國主義國家であったという戦前の日本にはあり得なかったような、人命軽視という言葉すら空しくなるような、残虐なる殺人が日常茶飯事になった現代社會を現出させた 

 

 國家を守ることこそ、國民の道義精神の要である。軍と國家、國防と道義は不離一体の関係にある。國を守る使命、言い換えれば、兵役の義務・國防の義務がない國民は、國民とはいえない。國民は運命共同体であるところの國家を生命を賭けて守る使命感・義務観念があってこそ、國民である。

 

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