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2014年11月24日 (月)

天孫邇邇藝命御降臨の御精神

 天皇による日本の祭祀的統一といふ歴史を背景として成立した『日本神話』には、天皇の御祖先である邇邇藝命が高天原から地上に天降られる時に、天照大神からの御命令(御神勅)が下されたと記されてゐる。

 

 それには、「豊葦原の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂の國は、これ吾が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)なり。爾(いまし)皇孫(すめみま)、就(ゆ)きて治(し)らせ。行矣(さきくませ)。寶祚(あまつひつぎ)の隆(さか)えまさむこと、當(まさ)に天壤と窮まりなかるべし」(豊かな葦原で秋になると稲穂がたくさん稔る國は私の生みの子が統治すべき地である。なんじ皇孫よ、これから行って統治しなさい。元気で行きなさい。天の日の神の靈統を継ぐ者が栄えるであらうことは、天地と共に永遠で窮まりないであらう、といふほどの意)と示されている。

 

 さらに、「吾が高天原に所御(きこしめす)斎庭の穂(いなほ)を以ちて、また吾が兒(みこ)に御(まか)せまつるべし」(私の高天原に作っている神に捧げる稲を育てる田の稲穂を私の子に任せよう、といふほどの意)といふ御命令を下された。

 

 天孫降臨神話の意味するところは、穀物を實らせる根源の力である太陽神の靈力を受けた天邇岐志國邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命(アメニギシ・クニニギシ・アマツヒコ・ヒコホノ・ニニギノミコト)が、地上に天降り稲穂を實らせるといふことである。それがわが日本の始まりなのである。そして、天照大神の神靈をそのまま受け継がれた「生みの子」たる邇邇藝命及びその御子孫が永遠に統治される國が日本であるといふことを端的に表現してゐるのである。

 

 天邇岐志國邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命という御名前は、「天地に賑々しく實ってゐる太陽神の御子であり立派な男児である稲穂の靈の賑々しい命」といふほどの意である。邇邇藝命とは、太陽神の御子であるとともに稲穂の神の神格化である。この國の人々の生命の糧である稲穂が毎年豊かに實るやうに、といふ古代日本人に共通する切なる願ひが天孫降臨神話を生んだのである。   

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