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2014年10月27日 (月)

ロシア科学アカデミー中東紛争分析センター長のアレキサンダー・シュミリン氏の講演内容。

九月十二日に開かれた『笹川平和財団主催講演会』におけるロシア科学アカデミー中東紛争分析センター長のアレキサンダー・シュミリン氏の「ロシアから見た中東情勢-シリア・イラク情勢をめぐって」と題する講演内容は次の通り。

 

「イスラム国が作り出した危機によりシリア地域が分裂。シリアの危機は地域そして世界を分裂させている。民主主義国家はシリアの戦いを反対派と独裁者との戦いと見ている。スンニ派とシーア派の戦いという見方もある。政治的動機付けは時の経過で変化する。紛争の進行に従って変化する。冷戦時代の中東紛争は民族国家に基づいていた。国家をベースにしていた。国際社会が焦点を置いていたのはアラブイスラエル紛争。その背後には大国の衝突と競争が存在していた。イラクのクウェート侵攻は国家を主体とした中東紛争の時代であった。今は、国家は統一連合して非政府組織=ハマス・アルカイダと関わっている。

 

今、注目されるのはイスラム国。アラブの春は国内の転換過程としてとらえるべし。陰謀の理論、一つの秘密の政府が世界を支配しているという見方がある。アメリカによる陰謀という解釈がある。

 

言論の自由は民主主義国家では当たり前。民主主義国の統治者は国民に対して誤ったビジョンを押し付けることはできない。専制主義国家は権威がマスコミを支配し統治者の解釈を上から国民に押し付ける。中東における一連の出来事に対する見方は国内の政治体制によって押し付けられる。アサドは常に正しいという見方が取られている。アサドはテロリスト・ジハード主義者という悪者と戦っている良い指導者がアサドとされ、アサドは穏健派と組んでテロリストと対抗と解釈されている。外國兵士がシリアに入り、アサドに対抗している。スンニ派諸国は『オバマは弱い』と非難。プーチンの抑圧に屈してはいけないと批判。ウクライナ危機は世界の政治体制の問題になった。イスラム国がシリアの危機に大きな影響を及ぼした。アサド政権の存続をサポートしているのは少数民族、ジハード派に襲われている少数派。国家制度と機関は破壊されていない。軍の反乱は止められている。軍の大部分はアサドに対して忠誠を持ち続けている。宗教指導者もアサドを支持し、非常に忠誠心がある。スンニ派の商人は比較的裕福な人たちで、他国との貿易で利益を得ている。この人たちもジハード派の侵攻を恐れている。これが、アサド政権が存続する主な理由。シリアの危機状況も変わった。

 

アメリカ人は、プーチンは正しいと思い始めた。アサドとテロリストとの戦いという見方。力を合わせなければいけない。中東の道は全てモスクワにつながるか私は疑問を持つ。アラブの指導者はアメリカをイラつかせようとしている。アルカイダはシリア紛争に関わっている。イスラム国になったグループもある。アルカイダの目的はイスラム教徒にアピールして世界と戦うこと。シーア派はアサドが主な敵としている。次の敵がバクダッドの政権。スンニ派はアメリカ側に立ちアルカイダを追い出すのに成功した。

 

イスラム国にとって第一の敵はアサド政権を支持しているロシア。目的は長年の夢であるカリフ(注・マホメットの後継者の意で、イスラム国家最高権威者の称)統治国家の復活。アタチュルク(注・トルコ共和国初代大統領)が廃止したカリフ統治を復活させようとしている。イスラム国指導者が各国から人材を誘致し資金を集めている。ウクライナ危機について中露同盟・一致は無いと思う。

 

中国はアルカイダに注目している。イスラム国ではない。イスラム国は近い敵に注目されている。中国はシリア危機に関わっていない。中国の中東政策は慎重。主な問題は脅威を無くすこと。オバマを支持する以外ない。野蛮な勢力は根絶すべし。プーチンはオバマ提案を受け入れ協力すべし」。

 

モデレーターの保阪修司日本エネルギー経済研究所理事がは次のように語った。「今年は第一次大戦から百年、中東の造られた国境線が国家でない勢力によって打ち破られようとしている」。

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