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2014年9月18日 (木)

三輪山信仰について

三輪山が大和地方の神奈備であるといふことは、三輪山はその地に都を置いてゐた大和朝廷の権威の象徴でもあったわけである。だから、敏達天皇の御代に、蝦夷の反乱を討伐して蝦夷の酋長を大和に連れて来た時、泊瀬川(はつせがわ)で体を清めさせて、三輪山の神の御前で大和朝廷への服従を誓はせたといふ。

 

なぜ三輪山が大和の神奈備になったのかといふと、山の姿そのものが美しかったことにもよるが、それと共に大和盆地の東南に位置する三輪山の方角から太陽が昇って来たからである。そして大和盆地の上を太陽が渡って二上山の方角に沈んだ。故に太陽信仰・日の神信仰の象徴として三輪山が仰がれた。三輪山信仰は、山そのものを御神体として拝むと共に、三輪山の背後から昇って来る日の神への信仰・太陽信仰でもあったのである。

 

三輪山の麓には檜原神社がある。ここは大和笠縫邑(ヤマトカサヌイノムラ)といはれ伊勢の神宮に祭られる前に天照大神が祭られた場所である。だから檜原神社を元伊勢と申し上げる。天照大神は最初に三輪山の麓に祭られた後、各地を経巡られて、最後に大和盆地の直線上東方に位置する伊勢の地に鎮まられたのである。

 

また、三輪山の麓から真直ぐ西に行ったところに天皇御陵のやうに大きな大きな箸墓といふ古墳がある。倭迹々日百襲姫命の墓といはれてゐる。『書紀』には、この倭迹々日百襲姫命に大物主神が神懸りしたと伝へられてゐる。つまりこの墓は三輪山の神を祭った巫女の墓といふことである。

 

邪馬台國畿内説をとる人は、この古墳を太陽神を祭った祭祀王である卑弥呼(ヒミコ)の墓であると言ってゐる。卑弥呼(ヒミコ)とは支那人が日本を蔑視してこのやうな漢字をあてたのであって、正しくは「日の御子」である。邪馬台國(ヤマタイコク)はいふまでもなく「大和の國」である。                     

 

何故、日本最尊・最貴の神であられ、御皇室の御祖先神であり太陽神であられる天照大神が女性神であられるかといふと、太陽神を祭る祭り主が女性であったから、祭る神が祭られる神になったからであるといふ説がある。太陽神が祭り主と合体合一したのである。

 

大和盆地をはさんで三輪山の向かひ側(即ち大和盆地の西方)にある二上山には、刑死された大津皇子(天武天皇の第三皇子)の御陵がある。二上山の麓には当麻寺といふ寺がある。この寺はわが國最初の浄土信仰の寺であり、浄土を描いた有名な『当麻曼荼羅』がある。つまり二上山は夕陽が入る山であるので他界(西方極楽浄土)の入り口と考へられたのである。

 

そして二上山の向かふ側には天皇御陵がたくさんあり、さらに西へ真っ直ぐに直線を伸ばすと、國生みの神であられる伊耶那岐命・伊耶那美命を祭った神社がある淡路島に至る。 

 

伊勢の神宮起源の地といはれる伊勢の齋宮から、大和盆地の三輪山・檜原神社(元伊勢)・倭迹々日百襲姫命墓・二上山を経て、仁徳天皇御陵などの天皇御陵の鎮まる大阪府堺市百舌鳥、そして國生みの神を祭る淡路島に至るまで、東西に走る直線で結ばれる、まことに不思議な事実がある。これは太陽の移動する線と共に神々を祭る地があるといふことである。この線は北緯三四度三二分である。

 

三輪山の麓には、崇神天皇・景行天皇の御陵も鎮まりまします。三輪山とその周辺が大和朝廷の祭祀の場所であったことは明らかである。

 

『日本書紀』は神武天皇と崇神天皇を「ハツクニシラススメラミコト」(國を初めて統治された天皇といふほどの意)と称へてゐる。崇神天皇の御代に、それまで天照大神を宮中の大殿に祭ってゐたのを、大和笠縫邑(今日の檜原神社が鎮座するところ)にお祭りするやうになった。

 

大和盆地に大和朝廷の都を置くといふのは、神武天皇以来の伝統であった。『日本書紀』に、神武天皇が塩土老翁(しほづちのをぢ)といふ航海・海路の神の御託宣により、大和橿原の地に都を開かれることを御決意あそばされた時の御言葉が記されてゐる。それには、 「東(ひんがし)に美(うま)し地(くに)有り。青山四周(あおきやまよもにめぐ)れり。…彼の地は、必ず以て大業を恢弘(の)べて、天下(あめのした)に光宅(みちを)るに足りぬべし。蓋し六合(くに)の中心(もなか)か。…就(ゆ)きて都つくるべし。」 と示されてゐる。

 

大和の國は四周を山に囲まれ当時の日本のほぼ中央に位置する美しい國であった。神武天皇が神の御託宣によって大和の地を都が置かれるべきと定められたのである。

 

 

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