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2014年9月30日 (火)

この頃詠みし歌

初秋の夜のまんまる月は大きかな ビルの上にぞ卵黄の如し

 

あくせくと世を過ごしゐる我の目に 空の半月清く美し

 

鬱蒼と繁りたる木々の枝を落とし 秋の青空がすっきりと見ゆ

 

猛暑終りにわかに秋が来りける わが街角に祭礼の幟

 

秋が来て涼やかな風にはためける 根津神社祭礼の幟親しも

 

機嫌良く話しゐし母 爪切ると申し述べれば怒りすさまじ

 

頑として爪切ることを拒みゐる母は何に怯ゆるならむ

 

大声でひとりごと言ふが癖になり 掃除しながら馬鹿野郎と叫ぶ

 

両関と言ふ名の酒はうまきかな 湯島天神下の古き酒房で

 

パソコンといふものが現れ ものを書くといふ言の葉の使ぴ難しも

 

ついにして欠かせぬものとなりにける老眼鏡は父の遺品ぞ

 

わが父が冷たき体となりゆける彼の日彼の時忘るることなし

 

入り行けば朱色の神殿鎮まれる根津の宮居の夕つ方かな

 

久しぶりに来たりし渋谷常盤松 常陸宮御殿の緑うるはし

 

今日もまた母のみ顔を見てうれし明るく元気で過ごしたまへば

 

老いし母のやさしき笑顔のいとしさよ 会ふ度に胸が熱くなるなり

 

訪ね行きしマンションの一室のあるじ殿 自信ありげにもの言ひたまふ

 

心通はぬ人との会話終へし後 そそくさとその場を離れ来にけり

 

屋上より眺めわたせば谷中墓地上野の山の緑目にしむ(朝倉彫塑館)

 

動かざる猫がたむろするこの館 朝倉文夫の住まひゐし所()

 

晴れし日曜多くの人が歩みゐる谷中の町は今盛りなり

 

高校時代のはりきり乙女は還暦を過ぎてもはりきり生きて頼もし

 

のぼり行く九段の坂に 灯台の光ほのぼのと灯りてゐたり

 

雨の降る夜の道歩み行く先は燗酒うまき酒場なりけり

 

秋の夜の酒はうましとしみじみと思ひつつ呑む黒龍といふ酒

 

夜の酒場それぞれの人生を持つ人ら それぞれに盃(さかづき)を傾けてゐる

 

初秋の夜 憲法の事を論議するこのひと時ぞ楽しかりける

 

佳き友と酒酌み交はし語らへる神保町の秋の夜かな

 

自然との共生といふ言葉を反芻し 御岳山噴火のニュース見てをり

 

若き日にご来光拝みし御嶽山 噴煙あげるをテレビにて見る

 

「お山は晴天六根清浄」と唱へつつ登りし御嶽 噴火続けり

 

バスを待ち見上げる空に雲浮かび晴れ晴れとして秋深み行く

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