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2014年8月 9日 (土)

神話の世界がそのまま伊勢の神宮の神殿に顕現されてゐる

稲に生育にとって太陽の光と熱は不可欠である。太陽は、稲の生育の原動力であり、人間の生命の原動力である。故に太陽神たる天照大神の御神霊と稲の霊とは不離一体である。

 

天照大御神は、「以吾高天原所御斎庭之穂、亦當御於吾兒」(吾が高天原に所御(きこしめ)す斎庭の穂を以て、亦吾が兒(みこ)に御(まか)せまつるべし。わが高天原に造ってゐる神に捧げる稲を育てる田の稲穂をわが子にまかせよう、といふ意)といふ神勅を下された。「日本國の統治者たる天皇は常に稲穂の豊饒を最高の使命とすべし」とご命令である。

 

稲作は、日本人にとって、天照大御神の「みこともち(御神勅)」によって天照大御神の「ことよさし(御委任)」を受けたところの神聖なる「なりはひ」である。稲作生活そのものが神聖なる行事である。

 

稲などの穀物は、太陽の光明温熱がなければ発育しないので、自然に、日の神祭祀と穀霊祭祀が二つながらに発展し、豊かにし、洗練され、高度化され、統一されて行ったと思はれる。

 

日本民族の主食である稲穂の「ホ」とは、日であり火であり穂であるとされる。皇室の祖靈であらせられる火照命(別名・火須勢理命、邇邇藝命の御子)火遠理命(別名・彦火火出見尊、邇邇藝命の御子)の「ホ」は、穂であり火であり日である。つまり、皇室の祖靈は稲穂の靈であり太陽神の靈であせられる。日の神・皇祖神・穀物の神靈は一体の関係にある。國民一人一人も、穀靈・日靈・祖靈の神霊に生かされてゐる。

 

天照大御神は、日神・穀霊・皇祖神としての御神格を有せられるので、その「生みの御子」たる天津彦彦火邇邇藝命も日神・穀靈を体現される。高天原の主神たる天照大御神の生みの御子たる天皇は豊葦原瑞穂國の主であらせられる。

 

『日本書紀』には、物部大連尾輿と中臣連鎌子が、欽明天皇に奏上した言葉として、「我が國家(みかど)の、天下に王(きみ)とましますは、恒に天地社稷(あまつやしろくにつやしろ)の百八十神(ももあまりやそかみ)を以て、春夏秋冬、祭拝(まつ)りたまふことを事(わざ)とす」と記されてゐる。天皇は祭祀主として日本國を統治される。天皇の神聖権威の根源は祭祀主たることにある。

 

伊勢皇大神宮ご正殿・御稲御蔵・外幣殿といふ神殿そのものが、稲作文化から発生した日本傳統信仰の結晶である。神話の世界がそのまま、神殿に顕現されてゐるのである。

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