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2014年7月31日 (木)

この頃詠みし歌

疲れたとつぶやきたまふ母上の頭(こうべ)に手を触れ癒しを祈る

 

父母のゐまさぬ部屋に一人して朝餉をとるはさみしかりけり

 

父母と語らひにつつ紅茶飲みし日々が懐かしく思ひ出さるる

 

中華思想を厭へる我も炎天の昼には冷やし中華を食したりけり

 

古き家が壊されて新しきマンションが震動と共に建てられてゆく

 

信号を待つ間にもギラギラと照りつける夏の太陽の大いなる力

 

花々が供へられたる菩提寺の園にわが家の墓は鎮まる

 

線香を手向けれぱゆらゆらと煙りあがり静かなるかも菩提寺の園

 

布を手に墓を磨けば光り増す 祖先(みおや)の御霊を拝ろがみつつ

 

坂道をのぼるが苦手の我なれどのぼらねば酒房に辿り着かない

 

贈られしローストビーフを食しつつ神戸に住める友を思へり

 

ローストビーフに包丁を入れて切りにけり かくして今日の朝餉始まる

 

安倍批判高まる会合にわれ座して一人安倍支持を表明したり

 

日々(にちにち)を汗かき過ごす我にして心の安らぎありとしもなき

 

友愛は大切なれどこの地球さうは問屋がおろさぬ世界

 

そうめんを食せば三輪山の麓にて友と語らひし日を思ひ出す

 

さっぱりと爽やかに生きるが日本人 そうめん食しつつしか思ふなり

 

起き出でて窓を開ければ爽やかな梅雨明けの風が入り来るなり

 

大都会の汚れし空気の中にしもスズメは元気にさえずり飛べり

 

武道館での勇姿を見たる人に逢ふ赤きマフラーをめずらしみつつ

 

充血せしわが目愛しむ 常日頃酷使せし事を詫びる心に

 

花瓶の水取り換へにけり今日もまた咲き続けよと祈る心で

 

地下鉄の駅の階段の数多し のぼり行くわれの胸高鳴れり

 

よくしゃべる女主人と語らひて下駄を買ひたり谷中三崎坂

 

谷中銀座大店の魚屋もなくなりぬ 観光地と化すことは是か非か

 

蒸し暑き谷中の町の日曜日かき氷屋に列なす人ら

 

天高く筋雲見ゆれば爽やかな夏を喜び深呼吸する

 

笑顔にて我に対する看護師に母を頼みて施設を出でる

 

母上が腰が痛いと言はれても 為すすべなきが悲しかりけり

 

美味きもの食した後に腹くだる食ひしん坊はあはれなりけり

 

腹こはし講演会の最中にトイレに駆け込む今宵なりけり

 

うるほひの無き街厭ふ我ながら飛鳥山の緑にやや安らぎぬ

 

夕立が過ぎにし道に水光り 歩み行くなるわが足軽し

 

八十歳を過ぎたる人が元気よくバイクに乗りて走りゆくなり

 

住みてゐし老婦人は何処に行きしやら向かひの家は壊されてゆく

 

向かひの家を壊す工事が始まりて轟音と共に街変り行く

 

花持ちてわが家を訪ね来し女(ひと)は恋人にあらず花屋さんなり

 

一つの言葉にとらはれて心落ち着かず炎天の下にバス待ちてをり

 

灯ともし頃家路を急ぐ我なれど待つ人無きしさみしかりけり

 

緑濃き皇居の庭に暫しの間やすらぎてゐる民草われは

 

夜の更けに日記書きつつ今日一日を省みる時の筆の音かな

 

新しき下駄履き歩めばカラコロと鳴る音すがしき真昼間の道

 

亡き父に似るわが顔を鏡にて見つつ偲べりそれその父を

 

わが父は大陸に戦ひ帰還して我を育てつつ生きたまひたり

 

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