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2014年6月 5日 (木)

伊勢参宮記 その一

六月二日朝、東京を出発。昼ごろ、近鉄線伊勢市駅に着く。三輪尚信氏(皇學館大學講師)にお出迎へをいただく。伊勢うどんを食しつつ懇談。伊勢を訪問する度に伊勢うどんを食することにしてゐるが、今回のお店が一番おいしかった。やはり地元の方に連れて行っていただくのが一番良い。

そして三輪氏と共に、豊受大神宮(外宮)参拝。参道を歩み行き、ご正宮に至る。謹みて参拝。多くの方々が参拝に来てゐる。

豊受大神宮は、第二十一代雄略天皇の二十二年にご鎮座と承る。豊受大御神は、御饌都神(みけつかみ)即ち五穀の神・衣食住・産業の神と仰がれる。はじめは、丹波國比治の眞名井が原といふ所に鎮座されてゐたが、雄略天皇の御夢に、天照大神のお告げがあり、そのお告げを体して皇大神宮の近くの山田原に神殿が造営されたと言ふ。

太陽が存在しなければ万物万生は生存しない。また祖先や親が存在しなければ子孫は生まれて来ない。皇大神宮に祀られてゐる天照大御神は、皇室の祖先神であると共に、万物万生の生命の源の神であられる太陽神であられる。即ち、天照大御神は、わが國伝統信仰の最高神・大親神として崇められる。豊受大御神は、天照大御神お召し上がりになる大御饌(御食べ物)の神であらせられる。そして全ての生き物は、食べ物がなければ生きて行けない。豊受大御神は、全日本人が食する食べ物の神であらせられる。

矢野憲一氏は「生きていく、生かせていただく最大にして最小の要素が、内宮と外宮の御神徳に集約され、日本人として、いや人間として感謝すべき源が伊勢でおまつりされているのです」(『私たちの伊勢神宮』)と論じておられる。

真弓常忠氏は、「(天皇が天照大御神に新穀を奉られるのと同様に)天照大御神もまた、この新穀を聞しめすにあたって、サバをサバの神に奉られる。皇大神宮にとってサバの神に相当するのは、御饌都神である豊受大神宮にほかならない。ここに外宮先祭の理由がある」(『大嘗祭』)と論じておられる。「サバ」とは神に奉る食べ物のことであらう。

「せんぐう館」参観。「せんぐう館」は「第62回神宮式年遷宮を期して、社殿造営・御装束神宝奉製の技術を展観し、我が国が誇る技と心の精華を永く後世に伝える理念のもと『せんぐう館』を創設しました。当館は20年に一度行われる神宮式年遷宮を通じて、広く我が国の伝統・文化を伝え、日本人の営みと精神文化の中心にある神道の継承をめざします」との目的で創設された博物館である(案内書)。「御装束神宝調製工程品の紹介」「渡御御列模型」「外宮殿舎配置模型」「外宮正殿原寸大模型」などを拝観。

「外宮正殿原寸大模型」は、外宮正殿東側の4分の1部分を原寸大で再現した模型。内宮及び外宮正殿に見られる建築様式は「唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)」と呼ばれてゐる。特徴は高床・切妻の建物で、萱葺の屋根に千木と鰹木が付いてゐること、柱はすべて根元を地中に埋めた掘立式であることなどといふ。弥生時代の高床式倉庫(掘立小屋)が発展したものと考へられてゐる。稲作文化の國日本の神を祭るに相応しい神殿の造り方である。

また、企画展示「出口延佳―神道は日本の道なり―」を見学。出口延佳(でぐち・のぶよし)は江戸時代前期の外宮神主で、生誕400年に際して著述や功績から神宮や神道を考え その業績を紹介してゐた。出口延佳は本居宣長など近世国学者に影響を与へた人と言ふ。

皇學館大學に赴く。岡田芳幸教授のご案内で佐川記念神道博物館参観。この博物館は、「我が国の歴史・文化の源泉である神道及び神社の紹介を通じ、日本の文化及び歴史・伝統・信仰・思想等の様子を正しく伝える目的のもと、皇學館大学が平成元年に設置、同4年1026日開館した大学付属の博物館施設」(案内書)である。谷省吾氏の「開巻の日を迎えて」といふ文章によると、「祭祀にテーマを絞り、祭祀の基本形として共通・一貫しているものを理解させる展示が行われ、また、佐川清氏の篤志を戴い竣工した」(要約)といふ。

 

「神饌(しんせん)」「神社の祭祀」「郷土関係資料」などのテーマの分けて色々な文物が展示されてゐた。「春日祭神饌」「住吉大社本殿御帳台」「御菅蓋(おかんがい)(大嘗祭で、天皇陛下に差し掛けられる御菅笠)「那智の火祭りの松明」「皇大神宮宇治橋古材」「伊勢歌舞伎衣装類」などまことに貴重な品々を拝観。日本伝統信仰である「神ながらの道の祭祀」について実態に即して理解を深めることが出来の展示であった。「住吉大社本殿御帳台」は、即位の大礼で、上御一人日本天皇が着座される高御座にそっくりであった。ご説明下さった岡田芳幸教授に感謝します。

 

宿舎に戻る。厚さ厳しき日に、小生のためにご案内下さった三輪尚信氏に心より感謝の誠を捧げます。

             ○

 

伊勢の宮の新しきみあらかの輝きは大日の本の光なりけり

 

新たなるみやしろの前にたたずめば神の光に包まれる思ひ

 

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