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2014年5月31日 (土)

マーティン・ジェイクス氏(ケンブリッジ大学客員研究員)の講演内容

四月二十六日に行われた笹川平和財団主催『マーティン・ジェイクス氏講演会―中国は世界をどう変えるか』における登壇者の発言は次の通り。

 

マーティン・ジェイクス氏(ケンブリッジ大学客員研究員)「中国の経済的抬頭が加速されている。二〇一一年の欧米の金融危機以前と比べると、中国経済はかなり大きくなっている。中国のGDPがアメリカのGDPを追い抜くのは二〇一八年であろう。

 

中国は貿易大国であり、世界最大の輸出国であり、第二位の輸入国。世界の国々の最大の貿易相手国になっていて三分の一は人民元で支払われている。中国の抬頭は金融面でも大変重要。二〇〇九年から十年、中国銀行二行の途上国への融資は世銀を上回った。途上国融資で大変重要な国になった。二〇〇八年まで人民元の国外持ち出しはできなかった。二〇一三年、中国の通商の一八%は人民元で決済されている。人民元は完全な兌換性のある通貨になる。ドルに代わるものになると推測する。

 

多くの国々が中国の抬頭で裨益している。かなりの国が自分の国にとってアメリカより中国の方が重要で、親しくするのが良いと考えている。しかし中国は貧しい。一人あたりのGDPはアメリカの五分の一。経済改革に大きな変化が出て来ている。内需によってより質の高い資本集約的な経済を目指している。

 

一九八〇年には中国経済はアメリカの二十分の一だった。今日、中国経済はアメリカ経済に規模的に近づいている。二〇三〇年に、中国経済は世界経済の三三・四%を占める。アメリカとヨーロッパとを合わせた経済規模になる。

 

西洋では長期間近代とは一元的なものという考え方があった。西洋スタイルが近代化という考えである。西洋ではない國で産業革命を始めた国は日本のみ。ハイブリッド的進化が起こっている。中国を理解するには歴史を理解しなければならない。

 

中国は広大である。しかし社会的バラツキがある。この国は北京から全て統制されているのではない。各省は大変な権力を持っている。大陸的規模の国家を維持するのは大変。遠心力が働いて、国が何時分裂してもおかしくない。香港が一九九七年に一五〇年ぶりに返還された。英国は一国二制度を信じていなかった。国民国家は一制度が伝統。鄧小平は一国二制度を提案した。香港は未だに中華人民共和国とは異なるコモンローを持っている。政府は国民の代表ではない。国民の投票権も複雑。政党制ではない。中国は中国人から見ると大変正統性のある国。中国政府が正統政府として支持されていなければ今日のようにならなかった。

 

中国の進化は欧米とはかなり異なる。中国が大国になったらどんな国になるか、中国人自身も分かっていない。十三億人の人がいる國を統治するのは難しい」。

 

山口昇防衛大学教授「中国は貧富の差が大きくなり、社会的不安が起こるのではないか。中国の軍事費は日本を追い抜き、アメリカに近づいた。しかし実力を過大視する必要なし。日本には蓄積がある。日本には軍事費のみならずインフラにも蓄積がある。中国はグローバルな軍事大国というより地域的軍事大国。アメリカと比肩するにはまだまだ時間がかかる。中国は抬頭し、日本は衰退している。二十世紀は人類にとって恐ろしい世紀・ひどい世紀であった。二十世紀については悲観的ではない。ドラマチックな世紀になるのではないか。発展途上国が主役になる。日本は前向きな見方をすべし。日中と交流して友好時代に入って行くべし。日中はお互いに必要としている」。

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