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2014年5月16日 (金)

尊皇精神と国家的危機の打開

国家的危機を打開するためには、全国民が真に日本民族としての運命共同意識を強く保持し燃え立たせ得る精神的な基盤に依拠しなければならない。さうした精神的基盤は、神代以来の神聖権威の体現者・保持者であらせられる日本天皇への尊崇の念即ち尊皇精神である。

 

明治維新において、尊皇精神の興起は、勤皇の志士たちのみならず、一般庶民においても旺盛であった。伊勢の皇大神宮への民衆の集団参拝(いわゆる御蔭参り)が行はれ一般庶民の皇室の御祖先神に対する信仰が大きく復活してきてゐた。天保元年(一八三〇)には、御蔭参り参加者が閏一月から八月までで五百万人に達したといふ。

 

西欧列強の日本侵略から日本を守りぬくためには、全国的な統一国家建設が絶対必要条件であった。封建的各藩の分立を廃して統一国家を建設しなければならない。国家の中心を正しく確立しなければならない。もっともっと強力な国家統一・国家体制強化の牽引力が必要であった。この牽引力は、単に権力・軍事力のみに依拠するのでは駄目である。

 

国家の中心者は神代以来の伝統的権威を保持する天皇以外にあり得ない。日本伝統信仰の祭祀主・現御神日本天皇以外にあり得ない。道義国家の中心者・君主は、武力によって権力と土地と富を占有してゐる覇者では駄目である。覇道・強いもの勝ちの武家政権ではなく、現御神日本天皇の神聖権威が真正の国家統一を実現する。それが尊皇倒幕即ち明治維新であった。

 

欧米列強の侵略から祖國日本を守り、國家の独立と安定と統一を保持するには、日本の伝統と自主性を體現される御存在=神聖君主日本天皇を中心とした國家體制を確立しなければならない。伝統的君主である天皇を中心とする國家の回復が全國民的に自覚されるやうになった。そして、封建体制を打倒し、神話時代からの一君万民の國體を明徴化する明治維新が断行されたのである。

 

天皇の御本質は、現御神であらせられ、祭祀主であらせられ、國家國民を信仰的文化的政治的に統合する君主であらせられる。御歴代の天皇が政治権力の實際の行使者であられた時期は少なく、政治権力の権威の源泉として君臨されてきた時期が長い。しかしそれは、天皇が政治に全く関はりを持たれなかったといふ事ではない。

 

中古・中世においては摂政関白を任命されたのは天皇であり、近世において征夷大将軍を任命されたのは天皇であり、近代において内閣総理大臣を任命されたのは天皇である。天皇は日本國の統治者として政治的権威を保持されてきた。それがわが國の傳統である。 

 

これは現代においても同じである。今日の日本の政治制度も、國會において多数を制した勢力の長が与党として内閣を組織するが、彼らは天皇の「親任」を得ることによってはじめて「内閣総理大臣」以下大臣としての地位につき國務を執行することができる。 

 

しかしながら、江戸時代は、京都に天皇がおはしまし、江戸に征夷大将軍がゐたことにより、「天に二日なし」「一君万民」「天皇帰一」の國體が隠蔽されてしまった。

 

今日の日本においても、天皇陛下を権力者の政治利用からお護りするためには、尊皇精神希薄にして、天皇を政治利用しようとする政治家を、日本国から駆逐することが必要なのである。

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