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2014年3月23日 (日)

『萬葉集』とはいかなる歌集か

『萬葉集』の歌は、わが國が天皇中心の伝統的国柄を国家体制として開顕した時期の國民精神の表白である。日本民族精神の源流と言っても過言ではない。日本が様々苦難を経ながら国家体制が確立した時期である大和時代から飛鳥奈良時代を経て平安朝初期にかけての「時代精神」「国民精神」が「やまと歌」によって歌われている。

『萬葉集』は、貴族や武士や僧侶の歌だけではなく、上は天皇から一般庶民・遊女・乞食の歌まで収められている。『古今和歌集』以後は、皇族と貴族と僧侶と武士、という位の高い人たちの歌しか載っていないが、『萬葉集』は、上は天皇から下は万民の歌が収録されているのが特徴である。時代的にも伝承歌を含めると仁徳天皇から淳仁天皇の御代までの数百年間の歌が収められ、また、地域的には筑紫の地から陸奥國までの歌が収録されている。つまり『萬葉集』とは古代日本の全国民的一大アンソロジーである。

大伴家持は、日本の国の国柄の素晴らしさを後世に伝えなければいけないという使命感を持って、『萬葉集』の編纂に関わり、自らも歌を数多く詠んだ。

『萬葉集』を読むことによりを、今から二千年近く昔の日本人のまごころの表白に今日のわれわれが共感し感動することができる。『萬葉集』は、『源氏物語』と並んでわが國の文藝の古典としても世界の誇るべきものである。

『萬葉集』が「記紀・萬葉」と並び称される所以は、『萬葉集』がただ単に江戸時代以前の歌集という意味の「古典」ではなく、「記紀」と並んで日本國生成の精神即ち日本國體精神がうたいあげられ、それが各時代を通じて生命を保ち、現代においても生きているからである。

 

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