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2014年1月 1日 (水)

この頃詠みし歌

暗き病室に拘束されしわが母は体も心も衰へてゐる

 

院内感染で苦しむ母のあはれさよ 面会すらも許されぬとは

 

母上が今日はここに泊まってくれと頼みたまふは切なかりけり

 

拘束されし母は苦しげにうめきゐる水が欲しい水が欲しいと

 

ゆるき坂道歩み行きなば母のゐる病院はあり今日も歩めり

 

母上がベッドに苦しむ日が続く今年の師走は悲しくぞある

 

苦しまず安らかにゐませと祈るのみ 病室に横たはる母の手を握り

 

カーテンに影が映りしのみなるに我が来たるを母氣づきたまふ

 

我をしも良い子だから好きだよと言ひてわが母は泣きたまふなり

 

白き気球ゆっくりと動く冬の空 眺めてゐれば心やすらぐ

 

友ら集ふ岐阜の館にやまと歌のことを語れる冬の夜かな

 

木曽川の流れゆたかな冬の日にわが乗る列車は走り行くなり

 

戦国の英雄たちが覇を競ひし濃尾平野を走り行く旅

 

隣国が牙向けて来れば戦ひて国を守るがもののふの道

 

専制独裁粛清虐殺のむごき国 近隣国家と言ひたくもなし

 

あはれにも都知事は職を辞しにけり元気一杯の一年なりしに

 

明るい未来といふ言の葉を今日もまたつぶやきにつつ眠りに入らむ

 

自然を愛すと山に籠りし宗教家 熊を恐れて鈴つけしとぞ

 

病む母の生命力の強さには生みの子われも驚くばかり

 

食堂で母の食事を見守りつつ過ごすひと時は楽しかりけり

 

わが母はいと楽しげに歌うたふ若き看護師に労いたはられながら

 

母の口に食べ物運べば口開けて食したまへり老いたる母は

 

今日もまた母を見舞ひて語らひのひと時過ごす冬の夕暮

 

仏壇に線香あげて経を讀む冬の夜更けは静かなるかな

 

一人居の部屋にもの書く夜の更けの温風機の音はさみしかりけり

 

母のゐまさぬ部屋に一人で食事する 朝のさみしさせむすべもなき

 

わが歌を讃へてくれる人のゐて あな嬉しくも今日も歌詠む

 

医者の言葉信ずるよりほかすべなしと思ひて過ごす日々にしありけり

 

われが行けば涙流して喜びたまふ母をし見れば胸迫るなり

 

幾年も逢へざる友を偲びつつ年賀状の宛名書きゐる

 

若き日に感激しつつ讀みにける『生命の實相』わが書架にあり

 

『天の夕顔』讀みし昔に憧れし恋が甦り来ること無きか

 

味噌味の牡蠣鍋を美味しと食しゐる師走の夜の地下の居酒屋

 

かみやしろ夕日に照らされ真輝く時に神の御稜威いやます

 

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