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2013年9月18日 (水)

MOA美術館参観記

今日参観したMOA美術館は、「創立者である岡田茂吉(18821955)は、東洋美術の優品の蒐集に努め、海外への流出を防ぐため、1952年に財団法人東明美術保存会(現:公益財団法人 岡田茂吉美術文化財団)を設立しました。同時に、『美術品は決して独占すべきものではなく、一人でも多くの人に見せ、娯(たの)しませ人間の品性を向上させる事こそ、文化の発展に大いに寄与する』という信念のもと、神奈川県箱根町強羅に箱根美術館を開館しました。その30年後には、創立者の『熱海にも世界的な美術館を建設し、日本の優れた伝統文化を世界の人々に紹介したい』との願いを継承し、1982年にMOA美術館を開館しました。その成り立ちは、昭和32年にまず、熱海市に熱海美術館を開き、昭和57年の創立者生誕百年の年に、現在の美術館を開館、「Mokichi Okada Association」の頭文字を冠するMOA美術館と改め、財団の中心拠点として、美術品の展観をはじめ、いけばな、茶の湯、芸能、児童の創作活動などを通して、幅広い文化活動を展開しています」(案内書)という美術館である。

 

 

熱海市の山の上の方にあり、入り口からエスカレーターを三回ほど乗りついで上がっていくと、メインロビーがある。そこの前庭からは、相模灘そして初島や伊豆大島が一望できる。台風一過の秋晴れで素晴らしい眺めであった。

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美術館内に入ると、まず「黄金の茶室」というのがある。大阪城内に豊臣秀吉が造った茶室を、設計図に基づいて再現したものという。奥野床の間に豊臣秀頼が七歳の時に書いたという「豊国大明神」と書かれて掛軸があった。この茶室も、秀頼も、德川家康によって滅ぼされたかと思うと、何かあはれを感じさせる。

 

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さらに江戸時代中期の画家・尾形光琳の「国宝・紅白梅図屏風」(こうはくばいずびょうぶ)が展示されている。水流と紅梅・白梅が二曲一双の左右隻美しく描かれている。尾形光琳「琳派」と呼ばれる装飾的大画面を得意とした画派を生み出した始祖である。琳派の絵画は、一言で言えば、絢爛たる色彩美と画面の大きさがその特徴と思う。わび・さびの文化とか、枯山水の庭園とか、水墨画とは全く異なった美である。これもまた日本伝統美の一つの流れである。

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『所蔵企画展 茶の湯の道具』を観る。この企画展は「茶の湯は、季節のうつろいに心を寄せる日本人独特の文化として、様々な変遷をたどりつつ今日まで伝わり、親しまれています。茶席では、様々な用途、形、素材の道具が使われ、鑑賞の対象となりました。また、茶人達の好みに合わせて創造され、見出された茶道具もあります。時代とともに多くの先人達の美意識によって洗練されてきた茶道具の魅力をご堪能下さい」(案内書)との趣旨で開かれた。

 

本展では、わび茶の大成者・千利休の理想にもとづき長次郎が生み出した「黒楽茶碗 銘あやめ」や、綺麗さびを極めた小堀遠州が見出した中興名物「瀬戸肩衝茶入 渋紙手 銘 山桜」など当館所蔵の茶道具約100点を展観致します。「黒楽茶碗 銘あやめ 長次郎(桃山時代)重文 無準師範墨跡「帰雲」二大字」(中国 南宋時代 13世紀)などを観る。長次郎の楽茶碗は、千利休の理想に基づいたもので、最も日本的特質をもつやきものの一つである。この「あやめ」は、長次郎の名品として知られるもので、総体にかけた黒楽の釉薬が黒褐色にかせ、極めて侘びた風情を見せている。こういう作品を理想として利休が豪華絢爛たる『黄金の茶室』を作った秀吉と対立するのは当然と言える。

 

続いて『人間国宝三人展 ―佐々木苑子・室瀬和美・藤沼昇―』参観。この展覧会は、「わが国の伝統工芸界を代表する重要無形文化財保持者(人間国宝)3名の作品約30点の展観を通して、その極められた美に迫ります。「紬織」の佐々木苑子氏、「蒔絵」の室瀬和美氏、「竹工芸」の藤沼昇氏による、伝統を踏まえた確かな技術と芸術性に裏付けられた優品の数々をご鑑賞いただけます。このまたとない機会に、現代日本工芸の魅力を是非ご堪能下さい」(案内書)との趣旨で開かれた。「紬織絵絣着物・久方の空」佐々木苑子、「蒔絵丸筥・百華」室瀬和美、「束編花籃・精」藤沼 昇などを観る。

このほか、多くの展示品を見たが、特に印象に残ったのは、

「聖観音菩薩立像」(しょうかんのんぼさつりゅうぞう・奈良時代・重文)「阿弥陀如来立像」(あみだにょらいりゅうぞう・重文)一休宗純墨跡 一行書 いっきゅうそうじゅんぼくせき」「岡田茂吉書 旭日昇天」などであった。

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この後、庭園を散策。茶室で抹茶とお菓子をいただく。また、レストランで、自然農法で作られたカツサンドを食す。なかなか美味。MOA美術館参観は今回で三度目である。私立の美術館としてはまことに大規模であり、収蔵している作品も藝術的価値の高いものが多い。この美術館を参観すると心がすっきりする。

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