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2013年8月29日 (木)

この頃詠みし歌

母上は真夜中に家を出でたまひ警察官と共に帰り来りぬ

 

眞輝ける大日輪の下にして生き生きとしてわが身は躍る

 

パソコンを打ち続けゐるわが腕(かいな)少しく痛くなりにけるかな

 

坂のぼりたどり着きたる酒場にてあなごの刺身といふものを食す

 

駒込坂下と言はれし町に母は生まれ我も生まれて生きて来にけり

 

立秋はとうに過ぎたれど太陽は灼熱の光放ちゐるなり

 

夏の日の強き陽光身に浴びて命滾らすわれ六十六

 

ピカピカと光発して我の住むマンションの上に雷は轟く

 

この母を護り行かむと雷鳴の轟く夜に手を握りゐる

 

友達はみな旅に出て我はしも母の介護に日々過ごしゐる

 

食欲は健康のバロメーターと言はれればまさに我は健康

 

夜の更けにもの書きをれば腹が鳴る夕食終へて早七時間

 

健やかな母の横顔見つめつつ心たらへり我は母の子

 

祭囃子聞こえ来る夜 街に出て歩けば心華やぎにけり

 

ゆかた着た若き男女が楽しげに街歩みゐる祭礼の夜

 

夏の終はりを告げる祭礼来たりけり日暮里諏訪台は賑ひてをり

 

やかんの下にガスの火は燃ゆ 朝の紅茶母と二人で飲まむとすれば

 

空の彼方に白き筋雲見ゆる朝 ようやくにして秋は近づく

 

煙草をば吸はなくなりて三か月 九十キロになりにけるかな

 

健康のためにと喫煙を止めしかば見る見るうちに体重の増す

 

たちまちに太りたる体を如何にせむ煙草を吸はなくなりたる我の

 

近代短歌は何と暗き歌多きかと溜息をつく我にしありけり

 

病のこと歌はれし歌の多くして讀めば心も沈み来るなり

 

短歌とは病人文学と言はれたることもあながち嘘にはあらず

 

やまと歌しきしまの道の大いなる言霊をこそ歌ひ行くべし

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