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2013年4月26日 (金)

常盤伸東京新聞論説委員の講演内容・その二

プーチン戦略は、天然ガス輸出による莫大な利益を活用して国家を強くしようとしている。パイプラインを張り巡らし、外交的武器にしようした。シェール革命でプーチンのエネルギー政策は根底から覆されようとしている。最大のターゲットはわが国。北方領土に積極的になって来ている。森・プーチン会談で、プーチンは『対日エネルギー協力をしたい。エネルギー相を訪日させる』と言った。プーチンは前のめり。アメリカは最大のガス輸入国になるはずだったのに、シェール革命でそうならなくなった。欧州に中東がドッと入って来た。ロシアへのエネルギー依存を止めたい欧州は飛びついた。安定的売り付け相手は日本と中国。中国もシェールガス層があり強気。そうなると日本。時間との闘い。重要案件をまとめる必要あり、日本への売り込みをしている。

極東シベリア開発構想は実現されそうもない。白日夢だとロシアの専門家は言っている。『シベリア鉄道をもう一本作る、ウスリー島に中国と共同で観光施設を作る』というのは幻想。ロシアにとってシベリアはお荷物。雪の砂漠。シベリア開発すると経済発展できない。

プーチン外交の優先順位は、①旧ソ連諸国②欧州③米国④中国⑤インド。力の相関関係。軍事力のない日本は入っていない。

ゆるやかな経済統合に人口四千万のウクライナは消極的。シェールガス開発の可能性あり。欧州はロシアにエネルギー依存する必要がなくなった。人権問題でアメリカとの関係悪化。プーチン・習近平会談で、戦略的パートナーシップを高らかにうたいあげた。核心的利益重視を発表。しかし中ソで温度差がある。スホイ二四購入合意報道をタス通信は否定。領土問題が悪夢。沿海地方の問題を蒸し返すのではないかという悪夢。極東の産業の三〇から三五%が中国資本の管理下にある。

北方領土問題で日本に期待が高まっている。二〇一二年三月のプーチン発言をよく読むと、『主権移動はしないが歯舞・色丹は経済開発しても良い』と解釈できる。プーチンは安易な発言はしない。慎重な発言に終始している。ロシア側の積極的姿勢は領土を棚上げにした経済技術協力の拡大である。最大の譲歩は歯舞・色丹返還での決着。

スータリンが言って来た対日参戦の正当化など歴史認識を客観的なものにするようロシア側に働きかけるべし。プーチンは『東京宣言』を消し去りたい。明らかに反故にする、無私する姿勢。日本は急がば回れで『東京宣言』の意義を再確認すること。対ロシア外交が『出口論』でうまくいったことはない。経済優先・領土後回しの誤解が出て来てしまう。「政経分離」の誤解を与えない。色々な社会団体への弾圧に対して厳しく批判すべし。批判しないことによって領土問題に良い影響を与えるということはない。民間交流を盛んにして考え方を共有できる方向に持って行くべし。プーチン・ロシアはエネルギー帝国構築が怪しくなっている状況を見据えてロシア戦略を考えるべし。日本の国益を増進させる戦略が必要。

競争的多元的政治システム、チェック&バランスが無ければ民主主義と言うべきではない。政府から独立したマスコミが民主主義の最低基準。『イデオロギーではない合理的な社会の仕組みを作って行かなければならない』と言う人々が増えてきている。これはロシア中間階層の生活の実感。ロシアが好きだからロシアで生きて行きたい人たちから自然発生的に出て来ている運動。中間層を代弁する政治勢力がない。モスクワでは七割が反プーチン。そういう層がどう動くか。腐敗の問題と法治主義を徹底的に突き詰めると現体制をひっくり返すことになる。エリートの痛みを伴う改革が出来るかどうかが問題」。

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