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2013年4月17日 (水)

『国宝 大神社展』を参観して

本日参観した『国宝 大神社展』は、「日本人は古来、自然のなかに人知を超えたものを感じ、山、岩、木など自然物の中に神を見出し、畏れ敬ってきました。やがて神々を祀る神社が建てられ、祭神の調度品である神宝や、祭神の姿をあらわした神像などがつくられました。神社は、神聖な場所として尊崇され、神像や宝物が大切に守り伝えられてきました。この展覧会は、伊勢神宮の第62回式年遷宮を機に、神社本庁をはじめ、日本全国の神社の全面的な協力を得て、神社の宝物や日本の神々に関する文化財を総合的にご覧いただく、貴重な機会となります」(案内文)との趣旨で開催された。

この展覧会は、国宝・重要文化財約160件を含む、約200件の神社の宝物や神道に関する美術工芸品を総合的に展示されていた。祭神の調度品として最高の技術を用いて作られ、捧げられた「古神宝」や、神社に伝来した名宝、古代祭祀遺跡の出土品、神社創建の由緒を物語る縁起絵巻や神社の景観を描いた絵画、祭礼図屏風や神前に奉納された舞楽・能の装束などが展示されていた。

春日大社の古神宝「沃懸地酢漿文兵庫鎖太刀」(国宝)、厳島神社の古神宝「彩絵檜扇」(国宝)、鶴岡八幡宮の古神宝「沃懸地杏葉螺鈿平胡簶(国宝)、熊野速玉大社の神宝「袍萌黄地浮線綾模様固地綾」(国宝)などが展示されていた。熊野速玉大社・春日大社の古神宝が多かった。

三輪山の禁足地で出土した勾玉、宗像市沖ノ島で出土した滑石製舟形など古代祭祀に用いられた神具、「春日権現記絵巻」「日吉曼荼羅」「伊勢良宮曼荼羅」など神社・神宮を描いた絵画、鞆淵八幡社所蔵の「沃懸地螺鈿金銅装神輿」などの御神輿、厳島神社所蔵の「平家納経」、京都東寺所蔵の「女神坐像」、熊野速玉大社所蔵の「熊野夫須美大神坐像」などの神像が展示されてゐた。

お寺には仏像が必ずあるが、全国どの神社に参詣しても、御祭神の神像が御神体として祀られている神社は非常に少ない。というより無いと言った方がいいのではないか。少なくとも私は神社に御祭神の御神体として祀られた神像を拝んだことは無い。「国宝・大神社展」では、どういう神様の神像が展示されているのか楽しみにしていたが、やはり神話の神々の神像は「素戔嗚尊坐像」(滋賀・上野神社所蔵)が展示されていただけであった。また、「男神座像」「女神座像」と名づけられているだけで、神名は記されてゐない神像が多かった。我が家には大国主命のご神像を安置している。しかし、出雲大社のご神体は大国主命のご神像ではないと思はれる。

神道は天地自然を神とおろがむ信仰であるかにそれは当然と言える。

厳島神社に参拝した時、見ることが出来なかった「平家納経」は美しかった。平清盛の直筆の願文を初めて見た。中世以後は、神仏習合思想が深く表現されている展示品が多かった。

仏教関係の美術品などを展示する展覧会は良く開かれるが、神社神道に関するこれだけ大規模な展覧会は初めてではないだろうか。意義深い。神像を礼拝の対象としないことと、神社は、遷宮などで社殿や神宝が全て新調されるので、仏教寺院ほどには古き時代の「お宝」がのこらなかったのではないだろうか。

日本の麗しい天地自然こそが、日本伝統信仰の神宝なのである。しかし、いわゆる「お宝」は少なくでも、伊勢の皇大神宮の神殿の麗しさと清浄さは、常に新しくかつ永遠である。

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