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2013年3月27日 (水)

この頃詠みし歌

ベランダから町見下ろせば子供らが列をつくりて歩み行くなり

朝な朝な紅茶を飲みてパン食す母と二人の語らひの時

許せざる心を持ちて夜を過ごす時に拝ろがむ白き観世音

大き寺の屋根の上なる金色の葵の御紋は夕日に光る

のどかなる春の霊園歩み行き朝倉文夫の墓所仰ぎたり

弓張月が浮かぶ夕暮 古き町の人らはせはしなく行き交ひてゐる

大き墓石に刻まれし文字 さわやかに澤田正二郎と書かれゐるなり

その昔慰霊祭に来たりける澤田正二郎の墓前にぞ立つ

島田辰巳久松喜代子の姿ありし澤正の墓前祭を思ひ出しをり

幻となりてはかなき五重塔 谷中霊園に春風ぞ吹く

幼き日に仰ぎし五重塔今は無く幻となりし谷中霊園

幸田露伴旧宅跡に今日立ちて失はれたる五重塔を思ふ

色とりどりの花供へられし墓並ぶ菩提寺の苑に春は来にけり

水で清め線香手向け花供へ先祖の墓に祈り捧げる

坂道をのぼり行きなば息切れてつくづくわが身の重きを思ふ

日の光照り輝ける下にして色とりどりの花美しき

生きてゆくことの尊さかみしめて今日も真向かふ大いなる太陽

夕暮れの枝垂桜が風に揺れ今さはやかに春は来たれり

風の音激しき夜更け國難といふ言葉をぞかみしめてゐる

富士見坂のぼり来りて見返れば富岳は見えず雲棚引けり

咲き盛る桜の花の下に立つ弘法大師のみ像うるはし

旅姿の弘法大師の石像を拝ろがみまつる花の下にて

日暮の里のみ寺の桜花 今を盛りに咲き満ちてをり

築山は藤代峠と名付けられ遠き紀州の景色模しをり

広き庭見はるかし立つ築山に春の光が降りそそぎゐる

やすらけき元禄の世につくられし庭はやまと歌の道傳へゐる

爛漫と咲き満ちてゐる枝垂桜見上げる人らの喜びの声

茶室にて赤毛氈の上に座し庭を眺めて心やすけし

平穏な世にはあらねど春の日に人らぞろぞろ歩く六義園

地下鉄を降りて地上に昇り来ぬ春の光はうららかにして

思ひ出の中の人々の写し絵に向かひて玉串捧げけるかも

日暮の里に桜の花満ちて春の光に照らされてゐる

窓開き遠く眺むれば桜花 日暮里の丘に咲き盛るなり

わが国の独立と自由を守るため仇なす者とは戦はねばならず

古き友と語らふ夕べの酒うまし苦楽一如の人生なれば

志ある友一人わが前に粛々と語る夜の酒房で

美しき女医さんがゐる歯科医院に通ひ行くことは楽しかりけり

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