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2013年2月12日 (火)

東郷和彦氏( 京都産業大学教授·元外交官)の講演内容・その一

二月六日に行われた『一水会フォーラム』における東郷和彦氏( 京都産業大学教授·元外交官)の講演内容・その一

日本は半端でない危機にある。しかし、安倍内閣の下で一つ一つ政策を取って行けば危機を克服することは出来ないわけではないと思う。全ての政策をきちんととって対応し危機を日本にとっての機会にする。それが出来れば年末には抜本的に低迷から立ち直っていくことができる。絶望する必要なし。しかし、一つ二つ間違えば日本は沈没する。戦争になり日本の一部が占領されることはあり得る。平成二十年に日本は世界で見えない国になり、正念場に来た。安倍内閣は良いスタートを切っている。中国に対し抑制した手を打っている。中国・韓国・アメリカでいくつか打つ手を間違えると日本は孤立する。

北方領土問題の解決の大きな機会が窓を開けている。中国は狂気の沙汰。九月の国有化以来中国は戦争ムードに入って来ている。カール・マルクスは『政争は政治の延長』と言っている。今の中国で行われている議論・論争の中心は、『日本とは小規模戦争か全面戦争かだ』になっている。今の中国のマスコミを席巻しているのはそういう議論。習近平はそういう議論を止めていない。中国は実力を行使し実効支配の実績を積もうとしている。

日本は北方領土に自衛隊などが実力を以て中に入ることは考えたことはなかった。武力で北方領土を取り戻すというオプションは無かった。私たちは『憲法九条』を国是の中で育った。

中国は『尖閣は自分たちのものだから実力を使うのは当然』と言う。尖閣は、日本がずっと実効支配して来た。一九七一年に台湾と中国が領有権を正式声明した。

中国は力をつけて来た。中国は八〇年代に経済力をつけ、九〇年代に政治力をつけた。人民服から背広に変り、政治的に動き出し、二千年代に軍事力を増強。外交目的を達成するために軍事力を使う。

石原氏が『尖閣を東京都が買う』と言い出した。野田氏は都が買ったら不安定になるから国が買って安定化しようとした。野田氏と外務省はそういう意図だったが、その途端に中国は『挑発したのは日本だ』と大宣伝を始めた。中国が尖閣に入ってくることを止める方法は日本にはない。外交上こういう事態を作ったのは大失敗。『清が崩壊しつつある時日本が尖閣を奪った』と中国は主張。しかしその後の対応を見ていると中国がそういうことを主張する権利無し。『尖閣問題の台湾化』になった。尖閣と台湾とは同じレベルになった。尖閣の台湾化は日本の台湾化。一つの措置でこれだけ深刻な事態を作った。中国の意図を見誤り判断を間違った。

日本は抑止と対話の両方をやらねばならない。本当に入って来たら叩くぞという実力を持つ。防衛予算GNP比一%という枠を取っ払う。集団的自衛権の解釈を変える。ペロポネソス戦争と今の状況はあまりにも似ている。

谷内正太郎氏が中国との接触をしている。何もしていないとは考えられない。対話のレベルを上げねばならない。『領土問題は存在しない。棚上げ合意は存在しない』というポジションを止めるべし。外交とは本質的に自分の意見を言うのは当たり前。必要なのは相手の意見を聞くこと。去年九月二十五日から中国は終止管轄権を行使している。パトロールと法執行をし、漁業保護をしている。いずれ漁船が入って来る。今年の春、暖かくなった時が危ない。

アメリカが本格的に介入したら中国は怖い。アメリカは中国の軍事力行使に対し『安保条約五条を適用する』と言った。日中の対立はアメリカの利益。しかしアメリカが介入せざるを得ないようになるのは困る。アメリカから見て日本が中国を挑発していると思わせないことが大事。日本は海保と自衛隊で守る。この二つがあればアメリカは出て来る。

アメリカはリアリストであるが理念の国。日本が隠忍自重しても中国が出てきたら、アメリカは出て来ざるを得ない。日本は人権を大事にする民主主義国家であり同盟国だからアメリカ人が日本人と一緒に死んでもいいということになる。六五年日韓国交の時、慰安婦問題は出なかった。冷戦崩壊後、九十年代に出て来た。問題がアメリカに拡散した。

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