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2013年1月21日 (月)

長谷川煕氏(ジャーナリスト)の講演内容

一月十五日に行われた『一水会フォーラム』における長谷川煕氏(「アエラ」スタッフライター。ジャーナリスト)による「安倍政権と我が国の戦略的方向を問う」と題する講演内容

「従軍慰安婦の強制連行は真実なのか、真実ではないのか。真実だと証拠づける文書はない。『朝日新聞』の捏造、でっち上げという事ではなく、嘘を言うことを商売にしている戦争体験者の話に乗せられ記者が書いたことから、この問題が発生した。

一九三六年に学校を出て、朝日に入社。一九八八年に定年後も『アエラ』に執筆している。従軍慰安婦強制連行問題の真偽について取材して、私も徹底的に調べて書こうと提案してきている。しかし現在まで書いていない。弁解しようとは思わない。私は重大なこととして根本的にこの問題を解決しなければならないと思っている。

十五世紀にコロンブスが新大陸に到達してから後六百年は、白人・西洋人による世界支配の歴史。多数の地域と民族が、西洋の支配によって苦しめられてきた。オーストラリアにおいては、メラネシア系原住民アポリジニは狩猟の対象にされた。イギリスという島でキツネ狩りをして楽しんだように、キツネのいないオーストラリア・ニュージーランドでは先住民狩りの遊びをした。

日本は孤独な国である。国内で外国崇拝の再生産を永久回転のようにやっている。安倍政権の誕生は重大。その事を安倍氏は認識しているのか。西洋から相手にされず、嫌われ、警戒されている孤独を克服する新しい日本を作りたいという気持ちがあるようには思えない。

日米同盟を強化しようとしている。それが方便であるとしたら、安倍氏はいい意味で良い意味でとんでもない人。そうでないとしたら茶番。安倍氏の『新しい日本を作り出したい』という言葉は疑いたくない。安倍政権を警戒しているのは中国ではない。アメリカである。子飼いの犬に魂が出来たという分析。安倍政権の誕生は世界史的事件。

私事にわたり恐縮だが、私の父は頭山満と親しくしていた。頭山満は包容力と深さのある人だったと思う。私は頭山氏の書いた額を見て育った。北一輝と頭山満とは全く違うと思う。西洋の学問で身を立てようと思わない人がいて、政界に影響力を持っていたことは事実。そういう人はあの戦争を境に否定的に目で見られるようになった。『西洋化=日本の発展なのか。西洋の科学技術・学問を学ぶのは大事だが猿真似は良くない』という自問自答があり、夏目漱石はずっとその事を考えていた。それが日本の近代の底流にずっと続いてきたが、戦後はそれが消えてしまった。終戦によって悪い意味の完璧な明治維新が行われた。頭山さんのような方々は再生産されなくなった。

今、凄く流行っているTTPは、諸外国の外圧に屈服するのではなく、日本が積極的に率先して主張して、日本が積極的に主張すべし。私はTTPに賛成。金融政策・日銀問題・アベノミックス。軽いデフレの方が日本の社会を強くしていくと思っている。日本経済が委縮しているのは事実。日本経済はこのままだとドンドンしぼんでいく。それを突破していくためにTTPは無くてはならないもの。TTPに参加することによって日本は二回りくらい大きな国になる。

終戦直後、米軍のジープを見てこんなにかっこいい車があるのかと思った。銀座で、一台に十個ものタイヤがついている米軍のトラックが疾走しているのを見て凄い国だと思った。廃墟になっていた東京駅の前で米兵がサンドウィッチを食べながら立ち話をしていた。パンの大きさと具の多さを見て呆然とした。私の家からそう遠くないところに巣鴨プリズンがあった。その周りを私はしょっちゅうグルグル回っていた。母と姉と一緒に東京裁判の法廷を見た。

学校の教員が、民主主義がどうだとか、英語で妙な事を言い出した。そして教員が生き生きとしているのを変に思った。中学の校長がその頃無かった自動車に乗って出かけて行くのを全校生徒が見送った。選ばれてアメリカに行ったのだった。その校長は、戦中は『米英撃滅』と言っていたという。帰国後、『アメリカはテープレコーダーを作ることができる素晴らしい国だ』と言った。しかしすでにその頃、ソニーの前身の会社がテープレコーダーを作っていた。私は感覚的に変だと思い校長のアメリカ礼賛を批判した。卒業の時の『校長面談』で、校長は『君は僕のお土産にケチをつけたそうだな』と言った。私は、『テープレコーダーは日本でも既に出来ていますよ。何で見送らなければならなかったのですか』と言った。大いに怒られた。

グローバリゼーションとローカリゼーションは矛盾しない。私は道州制には反対。ローカリゼーションは昔の三百藩。長い年月の経緯の中で、国境は無くなっていく。少なくとも経済国境は無くなっていく。TPPはそれに向けての大きな動き。色々に利害が衝突しているのは事実。利害を譲ったり認めたりしながら、TPPを実現しようとしている。農協の金融と保険にメスが入る可能性あり、革製品・食肉産業に関税ゼロを要求してきた場合、日本は困ると思う。この事の解決が見えなかったらTPPはパーになる。関税がゼロになり、安い革製品が入ってきたら日本の製造現場はやっていけなくなる。ただの騒ぎではないと思う。

『朝顔につるべとられてもらい水』という加賀千代女(かがのちよじょ)の有名な俳句がある。これは外国にはない素晴らしい倫理観。こういうそういう生き物を憐れむ心、慈しむ心、感覚が日本では続いてきた。日本は極端に暑くも寒くもなく、四季がきちんと巡って来る。水に洗われている。独特の自然条件の中で育まれている価値観がある。私の小さなころには『月見』の習慣があった。月を愛でつつ食べたり話したりして宇宙と一体になっている。自然を壊さない。生き物をいじめない感覚。キツネ狩りをする伝統の国とは基本が違うと思う。

安倍晋三はエイリアンでも変人でもない。奇矯な振る舞いは無い。正常な人物。日本の比較的多数に支持されている。日本の精神が自立に向けて歩き出している。マイケルグリーン(アメリカの政治学者)はついこの間『自分が日本語を学んで失敗した。中国語をやっていれば良かった』と平然と日本人に対して言った。それが彼の浅はかさ。マイケルグリーンは今現在態度を変えたのではないか。自分が日本語の使い手であることを肯定しているのではないか。

北朝鮮が生きていられるのは、中国が食糧やエネルギーを与えているから。そうでなければとっくに崩壊している。

拉致は反日日本人が拉致に協力したと思う。不法侵入した朝鮮人、在日朝鮮人だけでは拉致は実行できないと思う。私は新聞記者の駆け出し時代に新潟にいた。新潟市内を相当取材した。どういう形で拉致被害者が船に詰め込まれたのか分からない。歴史の闇」。

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