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2013年1月 8日 (火)

『日本は何を考えて来たのか―第九回・大本教』を見て思う

昨日午後十時からNHKEテレで放送された『日本は何を考えて来たのか―第九回・大本教』を見た。

大本教が民衆の宗教であり、近代化の過程で、文明開化・近代合理主義から取り残され、貧困などの苦悩に喘いでいた民衆の心をとらえたということを強調していた。そしてこの世の内の建て替え・立て直しを叫ぶ教祖・出口ナオの『お筆先』を紹介していた。

大本は、資本家と権力者が利益を得る「強い者勝ち」の世の中を変革し、明治維新が理想として掲げた「一君万民の世の実現」する大正維新・昭和維新を目指したとし、維新運動の指導者と協力して「昭和神聖会」を結成して超国家主義の政治運動を展開した事が描かれていた。

昭和十年に大本は、「地上から大本を抹殺する」との権力側の方針の下、『治安維持法違反』『不敬罪』の容疑で、大弾圧を受け、幹部多数が拘禁され、その多くが凄惨な拷問にかけられ、獄死者や精神に異常をきたす人が続出した。

大本弾圧はどうして行われたのかは、近代史においても十分に正しく解明されていない。今回の放送でも残念ながらその原因については、はっきりとした見解を示されなかった。

「昭和維新」「ワシントン軍縮条約破棄」「天皇機関説排撃」を唱え、「皇道大本」を自称し、内田良平・頭山満両氏など維新運動指導者と深い協力関係を結んだ大本教が、何故弾圧されたのか。二つの見方がある。

一つは、大本は表面上「皇道」「天皇親政」「日本天皇を中心とする世界統一」を唱えているが、実は、「須佐之男命の神霊を受け継ぐと大本が主張する出口王仁三郎が、日本のみならず世界の君主なる」という國體転覆思想を持っていたから弾圧された、という説である。

もう一つは、大本教が当時の愛国団体・維新運動団体と結託し、動員面・資金面で協力していたことが、「体制維持」を目指す権力側にとって脅威になったので弾圧した、と言う説である。そして愛国団体との離間を図るために、「不敬罪」をその罪名としてでっち上げたというのである。

私はこれまで色々大本に関する資料を讀んできたし、色々な人の話を聞いてきたが、どちらの説が正しいか、はっきりとは分からない。

NHKが大本のことを取り上げたのは初めてである。これをきっかけとして、大本の真実の姿が解明されることを期待したい。それは維新運動史・近代神道史・近代精神史を考える上で非常に重要な事柄である。

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