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2012年12月10日 (月)

『尊厳の美術展―The Art of Gaman―』を参観して

今日参観した『尊厳の美術展―The Art of Gaman―』は、「太平洋戦争(四宮註・正しくは大東亜戦争)の開戦後、アメリカ西部では日系人が強制収容されました。彼らは厳しい収容所生活の中でも人間の尊厳を失わず、日用品や小木等を材料に美術工芸品を制作しながら不安や苦悩をのりこえ未来へと希望をつなぎました。平成22年、スミソニアンアメリカ美術館レンウィックギャラリーで開催された展覧会『The Art of Gaman』は、NHKの番組『クローズアップ現代』で紹介され大きな反響を呼びました。その中には日本での展覧会の開催を望む声も数多くありました。平成24年は日系人の強制収容から70年の節目を迎えます。この機会に展覧会を日本で開催し、困難の中でも人間の尊厳を失わなかった日系人の作品を紹介することを通じて震災から復興する日本と日本人を見つめる機会としたいと考えます」(案内書)との趣旨で開催された。

天皇、皇后両陛下におかせられては、十二月六日、東京藝術大学大学美術館で行幸あらせられ、この美術展をご鑑賞あそばされた。その事をニュースで知り、小生も本日参観した次第である。

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三段引出、椅子、そろばん、紙製の籠、二宮金次郎像・鶴・蛇・ライオン・だるま等の木彫作品、風景画・肖像画、日本人形、仏壇、硯などの作品が展示されていた。

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それぞれ苦心して作られたものばかりで、精緻で心の籠った作品であった。収容所という厳しい環境の中で、乏しい材料を使って創意工夫を凝らし精魂込めてこれだけ見事な作品を創作したことに本当に驚嘆する。日本民族は本質的に素晴らしい技術と藝術に対する情熱を持っていることを実感した。日本人はいかなる困難に遭遇しても逞しく生き抜く精神と力を持っているのである。

大東亜戦争開戦後、約十二万人の日系アメリカ人が、アメリカ政府によって強制収容所に送られた。手荷物以外の持ち込みは許されず、住んでいた家などの財産を手放して連行されたという。有刺鉄線が張られた収容所は砂漠などに作られたので風雨や砂塵が吹き込む過酷な環境であった。収容所は十四カ所つくられたという。

アメリカ政府は、一九八八年に公式謝罪を行い、収容されていた人々に対し補償を行った。しかし、収容されていた人々は、日系アメリカ人に対する敵意と差別が助長されることを恐れ、収容所生活の実態を子供たちにすら語ることはなかったという。

展示されていた俳画(作者未詳)に、

「血の誇り しかと抱いて 待つ明日」

という句が記されていた。涙を禁じ得なかった。日本民族の誇りと矜持を固く保持して苦難の生活を耐えていた同胞の方々に衷心より敬意を表する。美術館参観で涙を流すことはこれまでなかったが、先日参観した『東京国立近代美術館 60周年記念特別展・日本近代美術の100年』で、藤田嗣治「アッツ島玉砕図」「サイパン島同胞臣節を全うす」、鶴田五郎「神兵パレンバンに降下す」という戦争画を見た時も涙をこらえることが出来なかった。

戦争を耐え忍び、強く生き抜いた日本同胞に対して、深い仁慈の御心を寄せられる天皇皇后両陛下に、感謝合掌するのみである。

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