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2012年12月 1日 (土)

この頃詠みし歌

うら若き乙女が運び来しラーメンを食してうれしき今日の昼餉は

爽やかな朝を迎へて昇り来し日輪仰ぎ柏手を打つ

愚かなる元宰相はわが国を傾けし罪謝し政界を去れ

三年間の混迷を詫びる心なく「時間を戻すな」とは笑止千万

若き医師に元気づけられわが母は笑顔で明るく語りたまへり

土砂降りの雨に降られて歩み行く早稲田の街は若者多し

第二次安保の危機迫りたる頃にしてジュリアンといふ茶房に友ら集ひし

色づきし靖國神社の銀杏の葉 やがて今年も過ぎゆかむとす

人ら多く参り来たれる靖國の宮居に我も祈り捧げる

わが母の力よみがへり明るくも日々過ごしたまふことのうれしさ

何時も明るき友なればこそ遥かなる国に旅立つことの悲しさ(笹井宏次朗氏送別会)

こらへゐし我の眼(まなこ)に溢れ出る涙は友との別れ惜しみて()

半輪の月煌々と輝きて我の心を見透かすごとし

何時も買ふ飴屋の主人は元気にて挨拶交はす谷中寺町

飴屋なれど舐められてたまるかと洒落を言ふ飴屋の主人はおかしかりけり

杖つきて訪ね来たりし老婦人母と語らふ秋の夕暮

晩秋の今日も暮れたり 母上は一人静かに眠りたまへり

朗々と祝詞奏上の聲響くみ祭りに座すことのかしこさ(野分祭)

一年に一度の祭りそれぞれの思ひに集ふ友ら老いゆく()

青年の日の衝撃は幾春秋経ても新たによみがへり来る()

藤田嗣治描きしいくさの絵を見つつ涙さしぐむ秋の展覧会

いささかの仕事なし終へ今日の日は展覧会で美を楽しまむ

東御苑の紅葉眺め憩ひをり竹橋たもとの美術館にて

面影は常に美し 今ひとたび逢ふこともがなと思ひゐる我に

幼児とそれその母が語り合ふ姿を見ては心やすらふ

墓地に来て夕日耀ふ黄葉を仰げば心ややにやすらふ

み佛の姿尊き天王寺秋深き日に訪ね来たれり

日の暮れる里といふ名の町歩む 秋深き日の日の暮れる頃

歩み行く墓原の中にそそり立つ大き樹木の黄葉(もみぢ) 耀ふ

為すべきこと為し終へし夜 贈られし柿の実一つ頬張りにけり

新聞の切り抜き終り一人居の部屋に柿食ふ秋の夜かな

理屈をば並べるのみの人の話聞きつつうんざりとするわが心

光明の照り輝ける下にして大いなる道を歩み行かんか

過ぎ去りし日々思ふよりこれからのわが行く道に光あらしめん

夕空に浮かぶ満月刻々と光増し来るあざやかさかな

母が待つ千駄木の空に満月が皓々として冴へ返るなり

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