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2012年11月16日 (金)

やまと歌について

和歌(やまとうた)は、日本の最も純粋な最も固有な文藝である。『うた』の語源は、神様に何事かを「訴へる」といふところから来てゐる。

和歌には、五・七・五・七・七といふ音数律(音節の数によってつくられる詩歌のしらべ。五七調・七五調など五音と七音の組み合せによる場合が多い)以外には、決まりごとは無い。音数にしても許容範囲は広く、字余りはごく普通に見られる。連歌俳諧のやうな季語の制約もない。音数律といふ型をおおよそ踏まへてさへいれば、自由に詠んで良い。

「五・七・五・七・七」といふ定型は、まつりごと=祭祀に於いて自然に神ながらに整へられた。「五・七調」に日本人の魂をゆさぶる何ものかがある。

和歌は、人知のさかしらを超えて自然に生まれてくる『素直な心』(まごころ・もののあはれを感ずる心)の表白であるから、規則正しい生活の中から、自然にある声調を生み、「五・七・五・七・七」の定型を生み出した。

『古今和歌集』の「仮名序」に「力も入れずして天地(あめつち)を動かし、目に見えぬ鬼神(おにがみ)をもあはれと思はせ、男女(をとこをんな)の中をも和(やは)らげ、猛(たけ)き武士(もののふ)の心をも慰むるは歌なり。」(力を入れないで天地を動かし、目に見えない鬼神をも感動させ、男女の間をも和ませ、猛々しい武士の心をも慰めるのが歌である)とある。

明治天皇は次のやうに詠ませられてゐる。

「天地もうごかすばかり言の葉のまことの道をきはめてしがな」

「世の中にことあるときはみな人もまことの歌をよみいでにけり」

「ことのはのまことのみちを月花のもてあそびとは思はざらなむ」

「鬼神も泣かするものは世の中の人のこころのまことなりけり」

「まごころをうたひあげたる言の葉はひとたびきけば忘れざりけり」

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