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2012年10月12日 (金)

この頃詠みし歌

雨降りて濡れし参道歩み行き花を捧げてみ墓拝ろがむ

ようやくに涼しくなりし彼岸の日父の眠れる墓を清むる

動かざる雲を眺めて母上は不思議なるかなと申したまへり

手を合はせ父の遺影を拝ろがめば笑顔はやさしく吾を見そなはす

苦しみし父はこの世を去り給ふ のこされし子の悲しみ深し

母上は父の遺影に手を合はせ安らかなれと今日も祈りゐる

ふるさとは今我の住む千駄木の町にしあればうれしかりけり

わが町に銭湯は一つも無くなりて煙突といふもの消えゆきにけり

遠くにはスカイツリーが見ゆれども煙突はついに姿消したり

のんびりと猫は寝そべる路地の端 平和といふはかくなることか

筆持ちてノートに向かへば歌心湧きて来るかな嵐吹く夜

高光る日を仰ぎつつ深呼吸すればわが身に力みなぎる

幼き日蚊帳の中にて友どちと騒ぎ遊びし臨海学校

安房の國岩井の海辺に友どちと遊びし思ひ出なつかしきかな

ニコライの鐘を聞きつつ友を待つ時の間の心妙に静けし

午前二時日記付けをればマンションの廊下に靴の音響きたり

窓開けて大きくしゃみを放ちたり千駄木の街に響き渡れと

またしても救急車に乗りて病院へ行くこととなりぬ母病みたまひ

救急車は母と我とを運びゆく受け入れる病院をやっと見つけて

母の手を引きつつ信号を渡りたり病院での診療終へし夕暮

何時ものやうに元気な姿でゐてくれと切に祈れりわが母の事

母上が明るき言葉でタクシーの運転手と話すことを喜ぶ

百歳とならむとする人わが前に滔々と語る秋の午後かな

美味きもの食してうれしきこの夕べ古き洋食店のコンソメスープ

展望台より四方の景色をむれば緑少なき東京の町

眼下(まなした)に小石川後楽園の庭が見ゆほっと安らぐ緑なりけり

祖父のこと軽んずる人が法燈の継承者とはおこがましきかな(谷口雅宣氏)

またしてもゲリラ豪雨に遭ひにけり借りたる傘をさして濡れ行く

とんかつを食してうれしき秋の昼 高層階の食堂の窓辺

揺るがざる確信といふを保ちつつ生きて行くべしこの乱世を      

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