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2012年10月29日 (月)

この頃詠みし歌

病室に一人苦しむわが母に 為すすべもなき我は悔しき

拘束されし母の手握り慰める夕べの病室に涙来湧くも

あはれなり母は一人で呻吟す 九十二年を生き来し果てに

わが母と上野寛永寺に参りたる日を思ひ出す母の病室

我を産み我を育てしわが母が衰へたまふ事の悲しさ

弱りたまふ母をいとしみ手を握り励ましの言葉かけるのみなる

母の頬撫でさすりつつ体力の回復をこそ篤く祈れり

祈り言唱へつつ母の手を握り神の癒しを強く祈れり

わが母が俳句をつくるを喜びとせし昔日に帰るすべなし

母のゐまさぬ朝の食卓に一人してパンにバターを塗りて食せり

母のゐまさぬ部屋の花瓶の水を替へ先祖の位牌に手を合はせたり

母の不在続ける部屋に朝行きて窓開き空気を入れ替へにけり

医師と看護師信ずるほかにすべはなし 母は病室に伏せりたまへば

病室に入れば母はベッドにて笑顔で我を迎へくれたり

身体を拘束されし母上は 我をし見れば安堵の顔す

帰りますと言へばさみしさうな顔をする母を見るのは切なかりけり

秋雨に濡れつつ駅への道を歩む母のゐませる病院を後に

母上よ明日まで待ってゐてくれと思ひつつ歩む病院よりの帰路

西空に太陽が沈み行く時にビルの窓ガラス朱色に燃ゆる

秋雨に濡れつつ歩む霊園に鳥が群れ飛ぶ静けさぞ良し(谷中霊園来島恒喜氏墓所参拝)

秋雨に濡れる墓標に来島恒喜と太く刻まれし文字を仰げり()

わが国の近代の歴史を刻みたる多くの人々谷中に眠る()

八雲立つ出雲の國の神やしろ日の本の国を太しく護りますなり(『古事記一三〇〇年出雲大社大遷宮特別展・出雲ー聖地の至宝ー』展)

上野山秋晴れの日にのぼり来て出雲の神々に出会ふうれしさ()

三日月が夜空に浮かぶゆかしさを愛でつつ歩む千駄木の街

屋根の向かふに沈みゆくなる三日月を眺めつつ酔ひをさまさむとする

気が付かぬふりして行きし知り人を遠く見送りさみしむ心

人工の灯りといへど青く光るスカイツリーは美しきかな

フランスよりの友の電話の声楽し 遥かなる国も隣室の如し

若き店主が明るき笑顔でものを作る様を見てゐれば心和むも

久しぶりに来たりし店のもつ焼きを頬張りにつつホッビーを呑む

神ながら大いなる力天降りこの国難を救はせたまへ

天地と共に栄える神の国 大日の本に生きるうれしさ

先帝をお偲びしつつ経巡れる東御苑の樹木美し(皇居東御苑にて)

やすみししわが大君が愛でたまひつくりたまひし森を歩みぬ()

松の緑秋の光りにかがよひて御稜威満ち満つる皇居の広庭()

空高く飛行機が飛ぶを仰ぎ見る皇居の庭の秋晴れの午後()

晴れわたる秋の青空仰ぎたり東御苑のベンチに座して()

外つ國の人々も皆連れ立ちて東御苑に憩ふ秋の日()

あなさやけ光あまねき秋の日に皇居の庭を巡るうれしさ()

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