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2012年7月15日 (日)

ルクマン・フェーリ駐日イラク共和国特命全権大使の講演内容

『笹川平和財団主催・駐日イラク大使講演会』におけるルクマン・フェーリ駐日イラク共和国特命全権大使の講演内容は次の通り。

「二〇一〇年以降、中東に大きな変動が起きている。チュニジアで労働者での焼身自殺から革命が起きた。国民が権力を取り戻すことが起きている。しかし体制が変わったら全て良くなるとは言えない。人々の希望やニーズが満たされなかった。アラブ諸国全体が新しいテクノロジーによって通信が早くなった。一人の人に富があっても国民全体が享受できない。開発発展の遅れもあった。アラブの春の前から石油はあった。勤勉に働いてお金を得る必要が無い。イラクでは労働人口の一%しか石油産業に従事していない。

グローバライゼーションのお蔭で誰が何処で稼いでいるかが分かってしまう。人口増加についても情報が入る。イラクは毎年百万人人口が増えている。若年層が多い。イスラエルとの膠着状態は希望を失っている。軍事支出にお金を費やしたのにまだ弱体。ムスリム政党が台頭。自然の帰結であってクーデターではない。『自分は反ムスリム』と言う人はいない。

政権移譲について明確ではない。エジプトに比べると他の國はもっと混乱している。政権移譲の方法が難しい。民主的プロセスではない。短期的目標が強調される。公務員が十万人増えている。現実には緊縮財政が必要。

イランの核問題は大きい。お互いに信頼していない。対話していかねばならない。以前はエジプトがリーダー。その代りは何処が務めるのか。強い指導者が必要だという事が言われる。人権が尊重されない国でそれは何を意味するのか。ヨーロッバで勉強した人を選んでも解決しない。政治体制が機能していない。国家の機能が機能していない。大統領や首相を変えれば物事が解決するわけではない。独裁は社会の構造を悪くする。それを是正するのに長い時間がかかる。人々の社会参加を促進して国家に頼りすぎないようにすべきだ。イラクでは九年経っても根源的な問題が残っている。アラブには民主主義的地域ではないので時間がかかる。

歴史に対して責任を果たしていかねばならない。二〇〇三年以降、数多の選挙が行われてきた。六三%の投票率。政治的安定には時間がかかる。暴力は文化の問題になっている。暴力が日常になっている。国民の決意・自制心が無いと解決できない。国民の決意は民主主義を実現したいという事。

テロの問題は容易に解決できない。しかし事件に外国企業が巻き込まれることは無い。日本人への尊敬は高い。シリアには文化的・部族的リーダーがいない。アサドの後はどうなるのか。民主主義というプロセスをとるなら、そのコストもある。イスラエルによるイラン攻撃のためにイラク領空・領土を使う事は反対。イランとイラクには共通項があり、国境を越えて同じ民族も住んでいる。同じシーア派も多い。対話こそ唯一であり大事。全ての人が会話していかねばならい」。

コメンテーターの出川展恒NHK解説委員は次のように語った。

「治安機関はシーア派が独占。シーア派民兵がそのままスンニ派への暗殺部隊になっていた。暴力の連鎖から脱却したのか。イラクでは毎日十人の人がテロで亡くなっている。一か月で三百人がテロの犠牲になっている。日本企業の社員を常駐させられない」。

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