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2012年6月22日 (金)

ハーバード大学ケネディ行政大学院教授・スティーヴン・ウォルト氏の講演内容

六月十二日に行われた『第六回・中東イスラム政治変動講演会』におけるハーバード大学ケネディ行政大学院教授・スティーヴン・ウォルト氏の「アラブの春以後の米国中東政策とイスラエル・ロビー」と題する講演内容を報告します。

「アメリカのユダヤ人は六百万人。全人口の二%。団結力と資金力で圧力団体になっている。アメリカの中東政策はイスラエル寄り。しかしそれはアメリカの国益になっていない。イランと敵対関係を作っている。日本にとっても重大な問題。アメリカが馬鹿げた政策をとると、原油が上がる。テロ対策に時間を割かなければならない。もっと正常な関係になるべし。

イスラエルはアメリカから四十億ドルの軍事援助を受け取っている。外交的援助も受けている。アメリカは地域紛争でもイスラエルを支持。イスラエルが勝手なことをやってもアメリカから大規模なサポートを受けている。これが大きな問題を引き起こしている。反米テロが起こる一つの大きな原因になっている。

イスラエルがパレスチナを四十年間占領しているのはアメリカの価値観と違う。イスラエルロビーがアメリカの政治に大きな影響力を持っている。上院下院に色々な団体が色々な形で影響力を行使できる。選挙には金が必要。その金の面でイスラエルロビーが大きな影響力を持つ。無条件でアメリカがイスラエルを支持するよう働きかける。イスラエル支持のシンクタンクがある。アメリカの政治制度では小さな団体でも大きな影響力を持つ。

イスラエルロビーは同意する人々が選挙で選ばれ政府の主要な立場に立つことを働き掛ける。メディアをコントロールする。世論を味方に付ける。社説・記事をイスラエル寄りにする。イスラエルに批判的なことを言うとキャリアが傷つけられる。

アメリカは『リンドン・ジョンソン大統領以降、イスラエルの入植に反対して来た』と言っているが、本当に反対した人はいない。アメリカは『パレスチナ国家創設』を言っても、イスラエルへのサポートを止めたことは無かった。オバマ政権は、表向きはパレスチナ政権を支持しているように見せているが,二〇一一年、国連がパレスチナを認めることを妨害した。

イスラエルロビーは、対イランでアメリカ政府が強硬なるように働きかけた。アメリカはもっと幅広い議論をすべし。イスラエルと特殊な関係を持つべきではない。普遍的関係を持つべし。

イスラエルロビーは、イスラエルに批判的な人々を『反ユダヤ主義』と中傷する。イスラエルのやり方はパレスチナの中のキリスト教団体にとって害になっている。

イスラエルを弱い可哀そうな国と見ることはできなくなった。中東で一番強い国になった。イスラエルを犠牲者とは思えない。

『アラブの春』で先行きが不透明になった。重要な外交課題をロビイストの影響によってアメリカで自由に議論できないのは不幸。オープンな議論を押さえつけるのは良くない。ロビー活動が意見の違う人を追放しようとしているのは良くない。

イスラエルはユダヤ国家として存続するために『普通の国』になるべし。そうしないと存続できない。軍事力・経済力を持ったのだから『普通の国』になり得る。イランとの戦争をしたくないのは、イラクの経験があるから。イスラエルロビーの影響が重要な因子となってイラクを攻撃した。

同盟国が助け合うということは、相手国が相手国の為にならない馬鹿なことをしていると思ったらはっきり言うこと。特に日本のためにならない事ならなおさら。『旧約聖書』は外交には向かない。福音派・シオニストは共和党に大きな影響力を持っている」。

          ○

シオニズム・反ユダヤ主義・イスラム原理主義が中東紛争のみならず世界の宗教対立の大きな原因となっている。一神教同士の戦いである。キリスト教にも根深い反ユダヤ主義がある。だからキリスト教国家であるアメリカが、イスラエル・シオニズム支持一色ということはない。実に複雑である。

しかし、個人資産四十億ドル以上のアメリカの大富豪の三六%をユダヤ人が占めると言う。歴史的に共和党の政治資金のおよそ三割五分はユダヤ・エリートが提供して来たという。ユダヤ系がアメリカの政治において資金面で大きな力を持っていることは紛れもない事実である。

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