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2012年6月11日 (月)

『中東イスラム政治変動講演会第五回・アラブの春以後のイランの国内政治と核問題』における登壇者の発言

六月一日に行われた『笹川平和財団主催・中東イスラム政治変動講演会第五回・アラブの春以後のイランの国内政治と核問題』における登壇者の発言は次の通り。

アブムハンマド・アスガルハーニー氏(テヘラン大学国際関係学センター長)「国内の制度・機構は外国からの影響なくして発展することはできない。『アラブの春・革命』は、世界の動きをある意味で反映している。ギリシア・スペイン・イタリア・フランス・シアトルで起こった動きと関係ないわけではない。世界的レベルで発生した近代社会の病と言える。

中東ではキリスト教は失敗した。そこにイスラム教が入り込んだ。イスラムの価値が顕在化した。イランにおけるイスラム革命は様々の国に影響を及ぼした。アラブ世界の革命はイラン革命のコピーではない。しかし、共通項はある。外国勢力の介入を防ぐ。イスラム的価値が顕在化したフラストレーションが起きた。その不満があるが故に攻撃に出る。それは地方特有もの、グローバルなガバナンスと、国内の要因が加わる。

中東諸国は国家に関わる様々な問題を抱えている。国家が強いのではなく社会が強いのだ。国家における社会に様々な勢力圏が混在している。これに政府が対応することが出来なかった。イスラム社会の国内問題の顕在化が一番大きい。その中核にあるのは政治の問題。イランにおける核開発は政治の問題。それが経済の形に転換されただけ。

核の問題はアメリカとイラクの問題、アメリカと北朝鮮の問題でもある。テーマが問題なのではなく、誰と誰との間で起こっているかが問題。アメリカは北朝鮮に対しては対話をし、事を起こしていない。

アメリカとイランとは紛争関係と言われる。実はそうではない。革命後のイランは法の支配に貢献している。イランとアメリカの双方は中東の平和のために協力して来た。グローバルな制裁措置によって屈服した国はこれまで一国もない。IAEA(国際原子力機関)は今の段階ではイランが核兵器を作っていると実証できないでいる。

イランには様々な派閥がある。しかし制裁が国内政治に脅威になると理解すると一致団結して対処する。イランとアメリカは様々なプロセスで紛争と協力を繰り返してきた。

日本国民はフレンドリーで率直。広島の広島平和記念資料館を見学したが、ハンマーを持っている人間ではなく、ハンマーのみを攻撃している。ハンマーを持っている人間のことを非難しない。

日本の外交には孤立主義的色彩を感じる。日本は経済大国の役割を果たさなければならない。日本は自分の能力を国際舞台で行使することを躊躇している。中東への協力はあったが、西洋的価値観に則ったものだった。

イランは革命後なので、アラブの春の影響はない。イランは他国と比べて物価が安い。経済は堅調。政府は貧困層に給付を提供している。制裁直後は色々問題があったが、その後は落ち着いている。欧州諸国より良い状況にある。

日本には真珠湾攻撃をする力があった。イランは一九四一年当時そんな力は持っていなかった。アメリカはイスラエルを自国の利益のために利用して来た」。

須藤隆也氏(元駐イラン大使)「イラン革命は、米英の価値観、国際秩序は正しくないとし、イランの独立を達成し、イラン国内の『ソーシャル・ジャスティス』(社会的公正の実現)を達成するために行われた。しかし、国内は人権問題などやり残したことがある。核・人権は、アメリカがイランにレジームチェンジ(武力行使や非軍事的手段によって、他国の指導者や政権を交代させること)し、内政干渉するための口実だ。米中関係と同様に、イランとアメリカもギブアンドテイクの関係は作れないのか問いたい。イスラム教の精神的影響力は大きくなる」。

中西久枝さん(同社大学教授)「これまで核問題に関して過去十年間の推移しか語られていない。メキシコ革命以来のアメリカの制裁文化が現在まで影響している」。

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