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2012年5月22日 (火)

あくびのこと

大変遅ればせながら最近、三島由紀夫氏の『葉隠入門』を拝読した。それには次のようなことが書かれてゐる。

「常朝は日常生活のこまかなことについても、役に立つ、さまざまなヒントを與へてゐる。『人中にて欠伸仕り候こと、不嗜(ふたしなみ)なる事にて候。不圖(はからずも)欠伸出候時は、額を撫で上げ候へば止み申し候。さなくば舌にて唇をねぶり口を開かず、又襟の内袖をかけ、手を當てなどして、知れぬ様に仕るべき事に候。…』…あくびを止めることはけふにも實行できることである。わたしは戰爭中からこれを讀んで、あくびが出さうになると上唇をなめてあくびをがまんした。」

ある講演会で、講師の話を聞いてゐた時、前日の睡眠時間が短かったため、ついあくびをしてしまった。講演内容は極めて興味深く、勉強になったのだが、不覚にもあくびをしてしまったのである。運悪くその時、講師が私の方を向いてゐた。大変気分を害され、「あくびをされると話しに力が入らなくなる」といふ意味のことを何回か繰り返された。まことに申し訳ないことをしてしまったと反省した。もう少し早く、三島氏の『葉隠入門』を読んでおけば良かった。

共産支那の文化大革命で、毛沢東によって粛清され、さんざん迫害された彭真といふ元北京市長(毛沢東の死後、復活して全人代常務委員長になった)は、会議の席で毛沢東が話をしてゐる時に大あくびをしたことが失脚の原因の一つになったという事を聞いたことがある。あくびは本当に気を付けなければならない。

『葉隠』には次のやうにことも書かれてゐる。

「大酒にて後れを取りたる人數多(あまた)なり。別して殘念な事なり。先づ我が丈け分(ぶん)をよく覺え、その上は飲まぬ様にありたきなり。」

私はある程度の量になると体が受け付けなくなるので、飲みすぎるといふことはないが、酒を飲んで饒舌になり、相手の気分を害することはあるので気を付けなければならない。

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