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2012年5月29日 (火)

『セザンヌ-パリとプロヴァンス』展を参観して

今日参観した『セザンヌ-パリとプロヴァンス』展は、「近代絵画の父と称されるポール・セザンヌ(18391906年)の画業を、パリとプロヴァンスという2つの場所に注目して振り返る大規模な個展です。…セザンヌは、当時世に出た印象派の輝くような明るい色彩に大いに感化される一方、形態と空間の表現に創意を凝らしました。そして、伝統的なアカデミスム絵画とも同時代の印象派とも袂を分かつ、全く新しい絵画を確立したのです。…本展は、セザンヌの芸術的創造の軌跡を、南北の対比という新たな視座から捉えなおそうという画期的な試みです。」(案内書)という趣旨で開催された。

静物画・風景画・肖像画など数多くの作品が展示されていた。最近「自然にやさしい」という言葉がよく使われるが、セザンヌの風景画はその言葉が似合う。というよりも人間にやさしい自然が描かれている。

小生は、高校時代だったと思うが、我が家のトイレにセザンヌの風景画が描かれたカレンダーが一年間つるされていたことがある。つまり毎日毎日、一定時間セザンヌの風景画を見ていたという事である。「明るくてきれいな絵だなあ」と思った。小生は、西洋美術の展覧会には行かないのだが、セザンヌの展覧会はどうしても見てみたいと思ったのは、そういう体験があるからである。

中河与一・幹子ご夫妻と懇談した時、「四宮君は西洋の画家では誰が好きか」と質問された。ゴッホやピカソのことは知っていたが、その頃はまだこの二人の作品をゆっくり鑑賞したことはなかった。ゆえに、他に知っている画家と言えばセザンヌだけだったので「セザンヌです」と答えるしかなかった。ところが中河先生ご夫妻は感心されたようだった。何か照れくさい思いがした。

しかし、子供の頃、セザンヌの風景画がとてもきれいだなあと思ったのは事実であった。今日あらためて鑑賞すると、やはり美しかった。今日鑑賞した作品では「水の反映」という作品が一番良かったように思う。

会場に「緑はとても快活な色彩の一つで、目に最も良い色なのである」というセザンヌの言葉が掲示されていた。まことにその通りで、緑という色は人間の眼だけでなく、心にも安らぎを与える色だと思う。

しかし、全体的には、ゴッホや佐伯祐三のような迫力のある魂に訴えかけてくる作品は少なかったように思う。風景画は、ゴッホや日本の川合玉堂の方がまさっていると思うし、人物画は藤田嗣治の方がまさっていると思う。つまり率直に言って今日の展覧会は期待していたほどではなかったという事である。これは私の鑑賞眼がおかしいのであろうか。しかし、前述したように、心安らぐ作品が多かった。

大家と言われる画家・作家などの芸術家には、若き頃は貧窮に喘いだとか、病身であったという人が多い。ゴッホのように死後作品が高く評価された人もいる。ところがセザンヌは資産家の家に生まれた経済的には恵まれた生涯だった。

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