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2012年4月 3日 (火)

自然に宿る神や霊魂を畏敬する心を復活することが大切

津田左右吉氏は「萬葉歌人の自然に対する態度についていふべきことは、自然を我が友として見、無情の生物を人と同じく有情のものとすることである。」(『文学に現はれたる我が国民思想の研究』)と論じてゐる。

古代日本人は、自然も人間と同じやうに生きてゐるものであり、神が宿ってゐるものなのだと信じたのである。「有情非情同時成道、山川草木国土悉皆成仏」といふ「天台本覚思想」は、まさに古代日本の信仰精神を継承し、仏教的に展開した思想である。

古代日本人にとって、自然は人間と対立するものではなく、人間と一体のものであった。だから西洋のやうに「自然を征服する」とか「自然を改造する」などといふ考へ方は本来なかった。

古代日本人は、人生も自然であり、人の生活は自然の中にあるものであって、人間は自然の摂理と共に生きるべきと考へた。

「山びこ」(山の谷などで起こる声や音の反響)のことをこだま即ち「木霊」「木魂」といふ。山野の樹木に霊が宿るといふ信仰から出た言葉である。まさに日本人は、山野に霊が宿ってゐると思ひ、深山幽谷は古代人の眼から見れば、精霊の世界だったのである。

かうした信仰精神を今日に蘇らせることが自然保護の最高の方策である。法令や罰則の強化は必要ないとは言はないが、それ以前に、自然に宿る神や霊魂を畏敬する心を復活することが大切である。

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