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2012年4月 2日 (月)

梅原猛氏の話を聞いて・日本伝統信仰への回帰による危機の打開

NHKのEテレ(以前は教育テレビと言っていた)で、今日の午後六時から放送された「311をどう生きる」という番組で、哲学者の梅原猛氏が述べたことを紹介します。

「現代文明を乗り越える思想は日本にある。山川草木国土悉皆成仏という思想である。地球上のあらゆるものに仏が宿っている、魂を持つという思想である。これは縄文以来の日本の思想を受け継いだもの。草木も石も仏性を持っているという思想。木がものを言う。宮沢賢治の世界。木が、人間と同じような悲しみを持っている。植物を中心に見て共存する。

『君が代』の『さざれ石が大きな岩となる』という歌に草木国土悉皆成仏の心が込められている。石も生きている。

自分の命は過去から受け継ぎ、未来へ続く。永劫回帰の思想。自然に対する畏敬の念。人間と自然が永劫に交わっていく。原始的生命は未来永劫に続いていく。生命を与えてくれる自然に対する深い畏敬の念が文明の中心にならねばならない。

エジプトに行って太陽崇拝を見たことが日本思想を見直す大きなきっかけとなった。エジプトではナイル川の増水と太陽の光が農業を栄えさせた。ラーの神、太陽神を崇拝し、水を大切にした。日本仏教は大日如来を崇め、水の瓶を持つ十一面観音を大切にした。太陽と水が日本の神の中心。

ギリシア文明で自然との共生が失われた。森が破壊された。ギリシアとユダヤはそういう思想。ギリシアは海賊国家。太陽の恵みを忘れた文明が近代文明。それが現代に続き原子力をエネルギーの根源として使っている。脱原発=自然エネルギーに帰っていくことは、エネルギーの問題ではなく宗教の問題。太陽と水への崇拝に回帰しないと人類は滅びる。

日本神道の本質は自然の恐ろしさから出発。捧げ物をすることによって恐ろしい自然を、恵みの自然に変えていく。自然は暴君のような恐ろしいものであると共に、慈母のような優しいものである。人間と自然を分け、人間を主体とする思想を反省するべし。

日本人はヨーロッパ文明・科学技術文明の恩恵を受けた。しかし、西洋科学技術文明のマイナス面が広島長崎の原爆と今度の原発災害。世界への教訓。世界史的教訓。

トインビーが四十年前に来日し対談した。トインビーは『日本は植民地にならず西洋文明を取り入れた。新しい歴史は非西洋文明が作る。それがどういう原理かは君が考えろ』と私に言った。その宿題への回答である。

西洋文明には感謝しなければならないが限界がある。今の文明は間違っている。新しい哲学を作る。それが亡くなった人たちへの鎮魂だ。」

            ◎

「山川草木国土悉皆成仏」というのは、平安時代以降の日本仏教の原点と言っていい「天台本覚思想」である。私はこの言葉を高校時代に谷口雅春先生の著書で初めて知った。「草木もの言う」「自然に神が宿る」という信仰は、日本伝統信仰である。日本神道は太陽神と国土の神と水の神を崇める。龍神信仰は水の神への信仰である。全てに神を観る日本伝統信仰への回帰が現代の混迷を打開するのである。こういう思想は、中河与一先生も論じておられた。

奈良の大仏も大日如来も、日本の太陽信仰・天照大御神信仰の仏教的展開である。

それともう一つ、日本伝統信仰の大きな柱が祖霊崇拝・死者への鎮魂である。

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