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2012年3月 5日 (月)

馬田啓一杏林大学総合政策部教授の講演内容

三月三日に行われた『アジア問題懇話会』における馬田啓一杏林大学総合政策部教授の講演内容。

「TPP交渉を主導しているのはアメリカ。アメリカの産業界や議会の意向を反映している。オバマ政権は、昨年十一月のホノルルでのエイペック会合でのTPB交渉の最終合意のシナリオを描いていたが、扱いが難しくて話がまとまらず、大枠で合意した。二0一二年末までに妥結するということになっている。今年は米大統領選挙がある。今年年末の合意は難しいと言われる。中国も指導者交代があり、重要な意思決定が出来ない。途中参加の日本にとっては都合が良い。チャンスがあるという考え方もできる。

日本では農水族議員が一番反対している。野田首相は去年十一月に関係国との協議に入ると発表。手ごわいのはアメリカとの事前交渉。

日本のTPP参加表明で一番あわてたのは中国。焦りが出てきている。カナダ・メキシコも参加するとなると、アジア太平洋から中国が締め出される懸念を感じている。米中の確執が激しくなった。日本はそれなりの役割を果たす必要あり。日本が米中のはざまに埋もれてしまうことが厳しく指摘されている。日本のプレゼンスを高めるべし。米中の調整役を果たす正念場に差し掛かっている。

WTOは失速気味。アメリカはアジア重視に転換しつつある。アメリカのアジアにおける権益が失われる恐れが出て来た。アジア太平洋のFTAを構築しようとしている。TPPを梃子にFTAAPの実現を目指す。米主導のTPP拡大を懸念する中国は、非TPPの枠組みとして東アジア経済統合の実現を急ぐ。米中による陣取り合戦の様相。そうした中で日本はどういう対応をすべきか。広域FTAの重層的な取り組みで、アジア太平洋の成長に取り組む基本的な戦略が必要。日本経済の再生のためにアジア太平洋の経済力を取り込む。地政学的優位性を利用すべし。

TPPに関して九カ国の枠組みでとらえるのは間違い。アメリカはアジアの地域主義を警戒する。中国が東アジアを政治経済軍事で支配するのをアメリカは非常に恐れている。TPPによるアジア太平洋地域への輸出拡大が、アメリカの成長と拡大が繋がることを期待。米主導で高度で包括的な二十一世紀型のFTAを目指している。

米産業界は、TPP交渉はビジネス環境を改善させる絶好の機会と思って居る。原則例外なき自由化。貿易の簡素化・透明性を高める。ハイレベルな知的財産権保護の導入、投資家保護規定を採用すべし。公正な競争の促進、国有企業と民間企業を対等に促進する。そこにアメリカが入り込む。米政府は産業界と議会の意志を反映した交渉に臨まねばならない。アメリカと参加国との交渉が行き詰まる心配が出て来た。

日本のTPP参加のメリットは、成長するアジア太平洋地域の需要を取り込むこと。USTR(アメリカ合衆国通商代表部)の外国貿易障害報告書で取り上げられた優先度の高い対日要求項目を日本参加条件にからめたいのがアメリカの本音。

日本はTPPを契機に抜本的な農業改革をすべし。農業保護の手段を関税から直接支払(所得保障)に段階的に移行。減反政策廃止。現行の戸別所得補償制度の見直し。ばらまき型から選択・集中型に転換。農協の改革。経営力のある農業の担い手の確保。農地を集積した大規模化と生産性向上を通じて農業の競争力を強化。六次産業化(生産、加工、流通の一体化)。農産物の高付加価値化。輸出促進による農業の成長産業化。農業はどの程度まで自由化の例外が認められるか読めない。コメは例外扱いしない方が日本のためになる。砂糖・畜産物は保護の対象になる。日本の将来を考え、したたかな経済外交を展開すべし。」

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