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2012年2月23日 (木)

『皇室典範』の改正について

『大日本帝国憲法』第七四条には、「皇室典範ノ改正ハ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ要セス」(皇室典範の改正は、帝国議会の議を経る必要はない)と書かれている。

これについて伊藤博文はその著『憲法義解』の「憲法第七四條」の「註」で、「皇室典範は皇室自ら皇室の事を制定す。而して君民相關かるの権義に非ざればなり」と論じている。

また明治天皇勅定の『皇室典範』六十二条には、「将来此ノ典範ノ条項ヲ改正シ又ハ増補スヘキノ必要アルニ当テハ皇族会議及枢密顧問ニ諮詢シテ勅定スヘシ」と書かれている。

伊藤博文著の形をとる『皇室典範』の逐条解説書『皇室典範義解』(明治二十二年六月一日公刊)の「前文」には、「皇室典範は皇室自ら其の家法を条定する者なり。故に公式に依り之を臣民に公布する者に非ず。而して将来已むを得ざるの必要に由り其の条章を更定することあるも、また帝国議会の協賛を経るを要せざるなり。蓋し皇室の家法は祖宗に承け子孫に伝ふ。既に君主の任意に制作する所に非ず。また臣民の敢て干渉する所に非らざるなり。」と書かれている。さらに『皇室典範義解』の第六二條の「註」において「皇室の事は皇室自ら之を決定すべくして之を臣民の公議に付すべきに非ざればなり」と言っている。

さらに明治二十一年五月二十五日から六月十五日にかけて、枢密院で『皇室典範』について審議が行われた。そこにおいて次のような発言があった。

井上毅(法制局長官・枢密院書記官長)「皇室典範を以て国会の議に附するときは、人民相集まりて、皇室の家格を妄議し、却て皇室の尊厳を冒瀆するに至る虞あり」と発言している。

山田顕義(司法卿)「皇室典範は特別重大の法典にして尋常の法律命令と混同すべきに非ず。故に別段の勅令を以て之を発布し、普く人民をして之を恪遵(忠実に守る意)せしめざるべからず。」

河野敏鎌(枢密顧問官)(『皇室典範』を)公布するとも、別に議院の干渉を容るゝの虞毫厘もあることなし。如何となれば、向来皇室典範を改更することあるも、皇族幷(ならび)に枢密院に諮詢する等の明条(注・『皇室典範』第六二条)あるを以て、更に議院の容喙を許さゞればなり。」

以上のごとく、『皇室典範』は本来「勅定」であり、議会が干渉することはあってはならない。『皇室典範』を衆参両院において審議し改定することは、わが国の伝統を侵すこととなる。戦後、『皇室典範』が『憲法』の下位法になり、皇位継承という皇室の重大事が権力機構である国会で決められてしまうようになったのは、重大なる國體隠蔽、激しく厳密・厳格に言えば「革命」「國體破壊」への道を切り開くものである。

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