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2012年2月17日 (金)

日本神話の国家観

日本国の「国生み」は、伊耶那岐命・伊耶那美命の二神がお互ひに「あなにやし、えをとめを」「あなにやし、えをとこを」(『本当にいい女ですね』『本当にいい女ですね』)と唱和されて行はれた。二神の「むすび」によって国土が生成されたのである。国土ばかりではなく、日本国民の祖たる八百萬の神々もそして自然物も全て岐美二神の「むすび」よって生まれた。

国土も人も神から生まれたのであり、神霊的に一体なのである。ここに日本神話の深い意義がある。神と人とが契約を結び、神は天地を創造し支配するといふユダヤ神話とここが全く異なる。

世界各地の「神話」は、人類最初の男女神は、人間を生んでいる。國を生むのではない。ところが、日本神話ではそれが國生みに結び付けられ、国土創造の話に転換されている。これは日本神話の特色である。太古の日本人は劫初から、国家意識が確立してゐたのである。

日本国家の神的起源思想の特色は、国家成立の三要素たる国土、君主及び人民に對する神霊的・血族的に一体であるところにある。即ち皇祖神たる天照大神と国民の祖たる八百万と国土が伊耶那岐命・伊耶那美命から生れでた「はらから」という精神にある。

村岡典嗣氏は、「吾人は太古の国家主義が実に天皇至上主義と道義的關係に於いて存し、天皇即国家といふのが太古人の天皇觀であったことを知る。皇祖神が国土、人民とともに二神から生れ、而も嫡子であると考へられたのはやがて之を意味するので、換言すれば天皇中心の国家主義といふに外ならない。」「日本の國家を形成せる國土(即ち大八洲)と元首(天照大神)と、而してまた國民(諸神)とが、同じ祖神からの神的また血的起源であるといふことである。」(『日本思想氏研究』四)と論じてゐる。

天皇と国民と国土の関係は、対立関係・支配被支配の関係にあるのではない。契約関係・法律関係にあるのでもない。霊的魂的に一体の関係にある。これを君民一体といふ。この國體を神話が語っている。

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