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2012年2月27日 (月)

日本の伝統的国家観

西洋国家観では、主権、領土、国民が国家の三要素といわれてきた。日本国家の生成が伝えらている「記紀神話」によると、国家成立の三要素たる国土・君主・国民は、伊耶那岐命・伊耶那美命二神から生まれ出た存在であり、命の源を一つにする「はらから」である。つまりわが国の伝統精神においては天皇と国民と国土は霊的・魂的に一体の関係にある。

つまり、君主と国民とは対立関係にあるのではないし国家と国民も対立関係にあるのではないことが、日本神話に示されているのである。

伊耶那岐命・伊耶那美命は、自然神であると共に、人格神であらせられた伊耶那岐命と伊耶那美命は「あなにやし、えをとめを」「あなにやし、えをとこを」(『本当にいい女ですね』『本当にいい男ですね』)と唱和されて、国生みを行はれた。二神の「むすび」「愛」によって国土が生成されたのである。国土ばかりではなく、日本国民の祖たる天照大御神も、八百萬の神々もそして自然物も全て岐美二神の「むすび」よって生まれた。

日本神話においては、天地が神によって創造されたのではなく、二柱の神の「愛・むすび」によって国土が生まれた。つまり神と国土・自然・人間は相対立し支配被支配の関係にあるのではなく、神霊的に一体の関係にあるのである。ここに日本神話の深い意義がある。岐美二神は、君主・国民・国土を創造されたのではなくお生みになったのである。

村岡典嗣氏は、「国家成立の三要素たる国土、主權者及び人民に對する血族的起源の思想が存する。即ち皇祖神たる天照大神や青人草の祖たる八百万神はもとより、大八洲の国土そのものまでも、同じ諾册二神から生れでたはらからであるとの考へである。吾人は太古の国家主義が実に天皇至上主義と道義的關係に於いて存し、天皇即国家といふのが太古人の天皇觀であったことを知る。皇祖神が国土、人民とともに二神から生れ、而も嫡子であると考へられたのはやがて之を意味するので、換言すれば天皇中心の国家主義といふに外ならない。」「日本の國家を形成せる國土(即ち大八洲)と元首(天照大神)と、而してまた國民(諸神)とが、同じ祖神からの神的また血的起源であるといふことである。」(『日本思想氏研究』四)と論じている。

天皇と国民と国土の関係も、対立関係・支配被支配の関係にあるのではない。契約関係・法律関係にあるのでもない。霊的魂的に一体の関係にある。これを君民一体という。この國體を神話が語っている。

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