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2012年2月24日 (金)

東洋文庫参観

 東洋文庫は東洋学の研究図書館である。アジア全域の歴史と文化に関する東洋学の専門図書館ならびに研究所という。三菱第三代当主岩崎久彌氏が大正十四年(一九二四年)に設立した、東洋学分野での日本最古・最大の研究図書館であり、世界五大東洋学研究図書館の一つに数えられている。その蔵書数は国宝五点、重要文化財七点を含む約九十五万冊であり、内訳は、漢籍四〇%、洋書三〇%、和書二〇%、他アジア言語(韓・越・梵・イラン・トルコ・アラビア語等)一〇%であるという。

江戸大江図(元禄時代の物)・広開土王碑拓本(高句麗の第十九代の王である好太王(広開土王)の業績を称えた石碑)・『解体新書』(安永五年刊)・『甲骨卜辞片』(支那の殷時代の物)・『東方見聞録』(一四八五年の古活字版)・『訓民正音』(ハングルについて解説した書物)・アダム・スミスの『国富論』(一七七六年刊の初版本)・『皇越律例』(十九世紀ベトナムの律令)・『マハーバラタ』(古代インドの宗教的、哲学的、神話的叙事詩。ヒンドゥー教の聖典のうちでも重視されるものの一つ)『百万塔陀羅尼』(称徳天皇の御代に、鎮護国家と滅罪を祈願するために、百万の小塔に陀羅尼を納めて、仏教寺院に奉納された陀羅尼。わが国最古の印刷物)・『文選集注』(支那の南北朝時代、南朝梁の昭明太子によって編纂された詩文集)・新井白石自筆遺書・ジョージ・チネリー(マカオに住んだ英国人画家)の描いた風景画・宮崎滔天に宛てた毛沢東・蒋介石の自筆書簡・黄興(孫文とともに辛亥革命の双璧と称される人物)が宮崎滔天に送った自筆書幅(七律の漢詩)・蒋介石の近衛文麿宛書簡などを観る。宮崎滔天が蒋介石・毛沢東と交流があったことを知り驚いた。また、「蒋介石政府を相手とせず」と表明した近衛文麿が蒋介石と交流があったのにも驚いた。

「東洋」とはきわめて広い地域であり、実に多くの民族と文化がある。そして長い間比較的平穏な歴史を刻んできたように思われる。しかし、西欧列強がアジアへの侵略を開始した後、苦難の道を歩み始めたことを、今日の見学で実感した。民族間の対立も、各地域の戦乱・疲弊も、西欧列強の侵略と植民地支配が開始された後、ひどくなった。特に、イギリスによるインドと支那侵略は悪辣を極めたと思う。アフリカや中近東は、民族や歴史や文化を全く無視して、西欧列強が国境線を画定したため、紛争が多発するようになった。中近東・アフリカの今日の混迷と戦乱の根本原因は、欧米列強の侵略と植民地支配にあるのである。

近年全面的に建て替えられ、展示場も設けられた東洋文庫は、我が家の近くにあるが、本日初めて参観した。国宝も多かった。大変勉強になった。

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