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2012年2月19日 (日)

渡辺利夫拓殖大学総長の講演内容

二月十四日の『呉竹会・アジアフォーラム』における渡辺利夫拓殖大学総長の「中国をどう見るか」と題する講演内容は次の通り。

「六年前、『親脱亜論』を出した。東アジアは、幕末から日清戦争までの時代に先祖返りしているという認識である。核弾道ミサイルになっている今の方が緊迫の度合いが高い。しかるに政権指導部が安穏としているのはどうしたことか。日中米三角形論を平然と言う政治家がいる。一体どうなっているのか。日中関係は厄介な問題を抱えている。自民党の指導者さえそう考えている。

中国は大変な膨張期。十%前後の成長を続けている。この成長率を背景に軍事力を拡張している。南シナ海の制海権は中国が握ったのではないかと見る専門家がいる。東シナ海も中国が握る可能性あり、中国の東アジア覇権の形成は目前である。東アジアを中心に中華帝国を形成するであろう。

中華人民共和国は大清帝国の後裔である。『振興中華』は現在の中国のキーワード。孫文は『五族協和』を『漢族を中心となし満蒙回蔵四族全部を我等に同化せしむ』と論じた。これは中華ナショナリズムである。国家内の異民族の自立を許容しない。共産党政権は孫文の思想を引き継いだ。中国はマジョリティを握り軍事力を使う。モンゴル、チベットへの共産党による軍事的弾圧が行われている。国家統一を図るという中国のエネルギーは膨大である。華夷秩序概念とは中国が中心という見方。

鄧小平は天安門事件による国際孤立に対応するために『韜光養晦』(光をつつみ養いかくす・外国に悟られずに軍事力を蓄え然るべき時に備える、という意)と言った。しかし強大な軍事力を身に着けた中国はこの政策をかなぐり捨てて膨張を開始した。

沖縄本島と宮古島の間の海峡を恒常的に中国の軍事艦船が通過している。日本は何も出来ないだろうと高を括っている。『ミュンヘン会談』で英仏はヒトラードイツの領土要求を全面的に認めた。これは宥和政策の典型となった。我々は中国のわが国の領土主権への侵害に対し法的手段を講じられない政府を擁しているという自己認識を持つべし。日本という国は『ミュンヘン会談』の一方の主役になってしまった事実認識を持つべし。

中華帝国主義は欧米の帝国主義から導き出されたが、それにプラスして華夷の弁と冊封体制がある。国内法を国際法であるかのごとく振る舞っているのが中国。中国と日本とは国際法の観念が異なる。

日本を変えることができるのは日本人だけ。アメリカや中国を変えることはできない。理不尽だと言って国内で相手国を罵倒しても何の役にも立たない。社会福祉のためにお金を使い出したら中国経済は一瞬のうちに赤字になる。人口問題は大変厄介。華北の水不足は絶対的。少数民族をどうやって統治していくのか。十年から二十年間で厄介なシナリオが動き出す。そう考えて対中戦略を構築すべし。」

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