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2011年10月11日 (火)

『彫刻の時間—継承と展開—』を参観して

今日参観した『彫刻の時間継承と展開展は、「東京藝術大学美術学部彫刻科は、前身である東京美術学校創立以来120余年の長い歴史を持ちます。…数多くの彫刻家を輩出し、現在に至っています。この展覧会は彫刻科が企画し、二つの柱で構成されます。一つは、藝大コレクションの名品を中心に出品します。飛鳥・白鳳の仏像から、近・現代の彫刻まで、日本彫刻の歴史を一望できる彫刻をセレクトし展示します。
もう一つの柱は、名誉教授、現職教員の展示です。空間を意識的に使い、現代の彫刻のあり様、個々の彫刻観の違いを提示するというものです。また今回の目玉として、橋本平八の作品17点と、平櫛田中の作品29点の展示です。この二人の彫刻家は、明治時代、ヨーロッパから導入されその後大きな潮流となった近代塑造彫刻と比較する上で、また日本の彫刻の独自性を検証する上でも、あらためて注目されている彫刻家です。橋本平八の収蔵作品には、『花園に遊ぶ天女』『或日の少女』『裸形の少年像』などの代表作を含み、その充実度は他に類を見ないもので、一同に展示されることも初めての試みで、大いに注目されることでしょう」(案内書)との趣旨で開催された。

午後二時より始まった木戸修東京芸術大学美術学部彫刻科教授による「名誉教授・現職教員の作品」についてのギャラリートークに参加。展示作品についての説明を聞く。

木戸氏は、「近代以前の日本の彫刻は仏像。近代になって最初にロダンの影響を受けた。次にイタリア彫刻から影響を受けた。これから彫刻の材料を探すのが不自由になって行く。材料に対してどのように向き合うのか心配。彫刻は置かれている空間が大事。屋外と室内では違う。屋外に置かれた作品は晴天と雨天では違ってくる。それが彫刻を見る楽しさ。

芸大の彫刻コレクションは、四万点以上ある。これには卒業制作も含まれている。この展覧会では仏像と平櫛田中をはじめとする近代の作品そして本学名誉教授・現職教員の作品が展示されている。

澄川喜一は前学長で『スカイツリー』のデザインをした人。海ほたるのトンネル掘削機の歯をモニュメントにした。澄川氏の『そりのある形』は木彫でバランスの取れた作風。

手塚登久夫の『約束の森』は人間の心の優しさを表現。鑿一本で、手で彫っている。山本正道『帽子をかぶった肖像』。この人は、山下公園の『赤い靴はいてた女の子』の作者。原真一の『浴室』は、人は何十年しか生きられないが、その間の肉体と精神の変容を表現した。林武史の『石間』は石の持っている可能性を目指した」と語った。

            ◎

展示された作品についての小生は次のような感想を抱いた。橋本平八の『幼少の孟子像』は、本を読んでいる気の強そうな少年が描かれていた。平櫛田中の『鏡獅子試作』は、顔が岩井半四郎に似ていた。同じく平櫛の『平安老母』は、生きているごとき表情であった。また二点あった平櫛田中の『岡倉天心像』も、田中が尊敬していた人の像であるので実に見事であった。竹内久一の『伎菜芸天』は、彩色豊かにして実に大きな女性像だった。

近代日本彫刻で大きな足跡をのこした高村光雲・光太郎父子は千駄木に、朝倉文夫、平櫛田中は谷中に住み、創作活動を行った。また、近代日本文学の二人の大立者・森鴎外と夏目漱石は千駄木に住んで創作活動を行った。近代日本の芸術史・文学史に欠かせない地に育ち住んでいる私にとってまことに有り難いことである。

ギャラリートーク

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東京藝術大学

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