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2011年7月17日 (日)

産経新聞政治部編集委員久保田るり子さんの講演

七月九日午後二時より、内幸町の日本プレスセンターにて開催された『アジア問題懇話会』において、産経新聞政治部編集委員の久保田るり子さんは「朝鮮半島から見た東アジア情勢」と題して次のように講演した。

「今年初め、中東民主化が起こり、エジプトの独裁政権が倒れた。エジプトと北朝鮮は、金日成時代から関わりがある。ナセル政権の時、第三世界の仲間として北朝鮮との関係が始まった。第四次中東戦争(一九七三年)で北朝鮮がエジプト空軍を指揮した。この戦争で北朝鮮は千五百人の軍事顧問団をエジプトに派遣。緒戦のイスラエル先制攻撃(七十三年十月六日)の成功は北朝鮮空軍パイロットの功績が大きい。その時の空軍司令官がムバラク。ムバラクはこの戦果でエジプトの最高勲章『シナイの星』を授与されて国民的な英雄になり、サダト時代に出世して大統領になった。ムバラクはあの時の恩義は忘れないとして、エジプト派兵の返礼として七六年に北朝鮮に二機のソ連製スカッドBミサイル(射程約三〇〇キロ)を供与した。北はこれを分解し、これをもとに八〇年代半ばには自国のスカッド・ミサイル量産体制を作り上げた。その後、ミサイル輸出を本格化させ、エジプトはイラン、シリア、パキスタンと並ぶ北朝鮮の主要武器輸出先になった。北朝鮮は、スカッドを改良しノドンを完成させ、さらに技術革新を続けた結果、『テポドン』や新型ミサイルを開発してきた。しかし、端緒をたどればエジプトとの関係にある。

ジャスミン革命を契機とした民主化で、軍が中立を守ったのでムバラクは追放された。そういうことを金正日は見ている。

金正日はリビアのカダフィとは一歳違いの同世代。独裁政治・反米というのもよく似ている。北朝鮮では、カダフィはカストロと共に『反米』のスター。北朝鮮にとってリビアは数少ない出稼ぎの相手国。

韓国情報機関によると、今年三月、北朝鮮は首都に暴動鎮圧部隊を作った。大量の武器を調達。人民のある種の反乱が起こるかもしれないという変化が起きている。

中国政府は、江沢民死亡を発表していない。わが社が把握している情報では、江沢民はすでに脳死状態と聞いている。心臓は動いているので『生きている』とした。江沢民の死亡によって日中関係に大きな影響なし。

金正日は二〇〇八年に倒れたが回復。今年五月、七泊八日の訪中を行い六百キロ走った。しかし今回、健康問題が取り沙汰されている。メドベージェフとの極東での会談予定が中止になった。健康問題か、事前にメディアに書かれたので警護上の問題があったのか。また、会談のテーマでロシア側とり齟齬があったという観測がある。『労働新聞』に大きな写真が載ったのでかえっておかしいという分析もある。健康問題が何時最終局面を迎えるかは神のみぞ知る。

北朝鮮は、二〇〇九年に組織改革した。四つの工作機関を軍に持って行った。金正恩は秘密警察と工作機関を掌握した。着々と権力基盤を構築している。粛清も起こっている。二〇一〇年六月、金正日の側近中の側近が交通事故で死亡。

韓国の李明博政権は北への資金をストップし、心理作戦を始めた。北の農村は飢えている。軍が農村から食料を収奪している。社会的混乱がゆっくりではあるが広がっている。来年は、韓国・中国・アメリカ・ロシアで政権交代がある。日本も来年、民主党政権が倒れると言う人がいる。

北朝鮮が核開発をしていなかったら、世界や日本がこれほど注目することはなかった。ただの最貧国だった。世界はどうして北朝鮮の核開発を止めることができなかったのか。時間だけ経過して何の解決も見られない。

金正日以後は、①親中的集団指導体制になって、部分的に改革開放を行う、しかし北朝鮮は中国圏に入ってしまう、②混乱の中での米中の軍事介入、という二つの可能性がある。求心力に穴があいたら何が起こるか分からない。独裁体制を支えてきた軍や秘密警察がどう動くか。アメリカが北の核に対してどういう選択をするのかということへの認識を高めておく必要あり。

日本に対する北朝鮮テロはあり得る。福島原発事故で、原発が如何に脆弱かを学んだ。数人のテロリストで事故は起こせる。日本という後方基地を使わせないためのテロはあり得る。

北朝鮮には隠れるところがたくさんある。北の森林地帯には穴が張り巡らされている。金正日一族の別荘がたくさんある。平壌の地下に地下道がある。地下宮殿もあるという。

日本はアメリカの情報機関・CIAや韓国の国家情報院と組めるような情報機関をつくらない限り情報収集は難しい。朝鮮半島有事の際、在韓邦人を救出できるかどうかというレベル。拉致被害者救出は推して知るべし。東日本大地震は戦後最大の試練。韓国への脱北者は二万を超えた」。

       ○

日米両国の核問題については執拗に「反核運動」するが、日本の左翼反核運動は北朝鮮や共産支那核開発に対しては何の抗議もしないし、行動も起こさない。左翼反核運動の目的が何であるかを如実に示している。

国際テロ国家・北朝鮮、人道を全く無視する独裁専制国家・北朝鮮に対しては毅然と対峙しなければならない。北朝鮮は日本に最も近くて最も危険な国なのだ。

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