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2011年6月30日 (木)

「東日本大地震からの復興を考える経済再生の決め手セミナー」における登壇者の発言

六月二四日に開かれた「東日本大地震からの復興を考える経済再生の決め手―政府貨幣発行権を考える―セミナー」における登壇者の発言を報告する。

加瀬英明氏「東日本大震災の一大教訓は、国家的危機には国しか頼るものはないということ。地方分権・地方主権とか言って国をおろそかにする風潮があった。しかし、国民は国がなければ生きていく事は出来ない。巨額に資金が必要。増税の議論がある。増税したら日本経済は冷え込む。国債発行は償還・金利が発生する。政府貨幣を発行すべきであるという運動を二十年間やって来た。償還も金利も発生しない。深刻なデフレが日本経済を悩ましているから、インフレにはならない。日本の新しい繁栄の時代を招き寄せるために、政府貨幣の発行に踏み切るべし」。

平沼赳夫衆院議員「日本気世界一の地震国、地球にプレートが四枚ある。その一枚一枚が年間数センチづつ動いている。そのうち四枚が日本に集中。千年に一度の津波が来た。民主党政権は二百年に一度の大雨を想定してつくったダムの予算をカットした。平安時代に貞観大地震が来た。貞観大地震では富士山の噴火があった。今も低周波の振動が起っている。『コンクリートから人へ』というのを止めて、しっかりとした防災対策をすべし。五月二十日に現地に行った。国土交通省の東北整備局長の徳山日出男は、今年の一月に着任した。大地震で獅子奮迅の活躍をしている。『役人の目で見て、政治家に見てもらいたいところを見たい』と依頼して視察した。仙台平野を突っ切る盛り土の高速道路の太平洋側は瓦礫の山だった。反対側は平和な田園風景であった。盛り土の高速道路が堤防を役割を果たした。それを見て『コンクリートから人へ』と言う無責任な政治家の存在は許されないと思った。関東地方でも、直下型地震が来る恐れあり。東海地方も富士山の噴火があるかもしれない。数十メートル岩盤が動き、その下にマグマがあり、その上に富士山が乗っている。四兆円の補正予算などというケチなことでは国を救えない。しっかりとした財源を確保すべし。青木ヶ原樹海・富士五湖は貞観大地震で出来た。慶長・安政年間にも大地震が起った。安政の大地震で徳川幕府は疲弊した。地震の影響が無かった薩摩・長州・土佐が力を持った。我々は国家千年の計を考えるべし。そのためにしっかりとした政府の貨幣発行権を利用して財源をつくらねばならない。二十年もデフレが続いているのに増税していいのか」。

丹羽春喜大阪学院大名誉教授「日銀券の発行は日銀の借金。国の利益にならない。政府貨幣は負債ではない。発行額に制限なし。政府財政にとって打ち出の小槌。慶応三年の大政奉還の後、由利公正と坂本龍馬が、維新政府の財源をどうするかを協議。由利公正は政府紙幣を出せと主張。そのアイディアが用いられて、明治維新の諸事業は太政官札でまかなわれた。国難の時である今こそこの国家基本権のメカニズムを使えるようにすべし。日銀に『電子的相互決済』で発行権を買ってもらう。威風堂々と経済再建計画が立てられる。社会保障も充実し、年金がもらえなくなるという心配もなくなる。ケインズ的政策をきちんとやっていればGDPが空しく失われることはなかった。今の経済学は『経世済民』の精神を失ってしまった。政策担当者が愛国心を失った。私の提言は通貨をたくさん印刷するわけではない。政府が持っている政府貨幣の発行特権のうち必要額分の権利を日銀に売る。その代金は電子信号で政府の口座に振り込んだことにすればいい」。

渡辺利夫拓殖大学学長「政府の貨幣発行特権は有効であり、大規模な財源を手にすることができる。東日本大震災は第二の敗戦。日本は完全なデフレ不況の真っただ中にある。大震災で共同体の強靭性が理解できた。血縁・地縁なくして生きていく事は出来ない。共同体を共同体たらしめる原理が我慢強い東北に生きていた。しかし高齢化している。基礎的共同体をしっかりさせねばならない。それによって政府が支えられる。共同体と国家の重要性を悟らせたのが大震災。その意味で、天罰ではなく天恵であった。どんなに壮大で緻密な防災をほどこしたところで、大震災が続いて起これば、日本は到底守れない。防ぎようのない悲劇がこの世にあるというしなやかな諦観を我々は持つべし。自分にとって都合の良い環境で人類は生きて来たわけではない。個々の生命体は必ず消滅する。生命体の精神は次の世代へ受け継がれていく。この生命体の集合体が民族。死者への深い鎮魂の心があって、今、我々がここに在る。合理的思考の身で天変地異に立ち向かうのはただの傲慢。三月十一日を『国民鎮魂の日』にしたい」。

長谷川三千子埼玉大教授「自分もやっぱり大自然の中に生きている動物の一匹なのだと今回の大地震で実感した。たくましく生きていく事が鎮魂。被災地の人々の切実な声は『自由に使えるお金が欲しい』ということ。政府予算は書類を書いてから何カ月も経過して出て来る。今使うお金が欲しいのだ。東北は第一次産業の拠点。この数十年間、第一次産業がいかになおざりにされてきたか。穀物の自給率が二十%という低さは国防として問題。日本農業はアメリカと比較してちっとも保護されていない。アメリカは戦略的に政府が安いコメをよその国に輸出している。日本は生産を制限し、休耕地になっている。日本がGDPをどんどん上げていくために必要なのは電力。しかし、それも節電を要求されている。全ての原発を止めようという動きがある。冷静な議論が出来ない。美しい精神と共に、日本人の愚かさも示している。日本人の放射能恐怖症を克服して、理にかなった復旧の道を歩むべし。これが不可欠な心構え」。

ヘンリー・S・ストークス元エコノミスト東京支局長「あと一二年、完全復興は難しい。問題は復興費用をいかに捻出するか。百兆円、二百兆円必要。日本はすでに膨大に国債を発行している。増税は国民に負担をかける。第三の選択肢は政府通貨の発行。ジャーナリストの直感で言えば、みんなが反対することは実行すべきである」。

         ◎

丹羽氏の言われる「政府が持っている政府貨幣の発行特権のうち必要額分の権利を日銀に売る。その代金は電子信号で政府の口座に振り込んだことにすればいい」ということが今の政治家や日銀・大蔵官僚に実行できるかどうかが問題である。

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