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2011年6月 2日 (木)

「花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術」展を参観して

今日参観した「花鳥の美 ―珠玉の日本・東洋美術」展は、「花鳥は、日本・東洋の美術作品の中で、最も愛された主題です。四季折々の変化を見せる豊かな自然の下で、幾多の花が、各々の美を競わせながら華やぎある風情を伝えてきました。…花鳥の主題は、瑞々しい自然の様相と生命の輝きを象徴するテーマとして人々の間で認識されてゆきました。…出光コレクションより絵画・工芸の優品、約80件を厳選して特集展示いたします。…日本・東洋美術における花鳥の意匠が織りなす不思議な魅力と、その変遷や大いなる広がりをご堪能いただきます」(案内書)との趣旨で開催された。

「四季花鳥図屏風」(伝雪舟・室町時代)「五彩花鳥文瓢瓶」(支那明時代)「金銅蓮唐草文透彫経箱」(室町時代)「色絵花鳥文蓋物」(柿右衛門・江戸時代前期)「吉野龍田図屏風」(桃山時代)「色絵鳳凰文共蓋壺」(野々村仁清)などを見る。

「花鳥風月」は、美しい自然の景色そのもの形容する言葉である。日本はそうした自然の美しさに恵まれている。したがって、日本美術も花鳥風月を描いた優れた作品が多い。今日見た作品では野々村仁清の「色絵鳳凰文共蓋壺」が最も優れているというか美しいと思った。野々村仁清は、江戸初期の陶芸家で、丹波国の人。京都御室(おむろ)の仁和寺近くで創作活動を行った。京焼の祖とされる。江戸初期の作品とは思えない新しさというか瑞々しさのある壺であった。

「吉野龍田図屏風」も素晴らしかった。吉野の桜と龍田の紅葉が描かれている六曲一双の屏風である。桜と紅葉は、まさに日本の春と秋の自然美を代表する植物である。

在原業平は龍田川の紅葉を

「ちはやぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは」

と詠んだ。「神代の昔にもこんなことがあったとは聞いていない。龍田川の水を美しい紅色にくくり染めするとは」というほどの意である。

日本人にとって自然は美しくも親しい存在である。そして日本人は、自然から実に多くの恩恵を受けている。自然と共に自然を友として生きていると言ってもいい。日本人は本来、自然を神として拝ろがんできた。

しかし、今回の東北大震災のように、自然は時として荒ぶる神となって人間に襲いかかって来る。我々は、自然に親しむと共に、自然の中に生きたまう神々を大切にして生きていかねばならない。自然を人間の支配下に置いたり、破壊することがあってはならないと思う。

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