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2011年5月 8日 (日)

神仏崇拝について

私は神社によくお参りするが、お寺にもよくお参りする。もちろん宗派は問わない。日本の一般的な家庭では、家の中に神棚と仏壇が共存している。毎朝、神棚にお灯明をあげ柏手を打ってお参りする。次に仏壇にお灯明をあげ線香を立てて合掌礼拝する。我が家も然りである。

神棚には国の主神である皇祖神(皇室のご先祖の神)である天照大神そしてその地域の産土神が祭られている。各家庭の仏壇には、その家が檀家になっているお寺の宗派の本尊が、安置されている場合もあるが、それは一般的ではない。それよりも仏壇には必ずその家の先祖の位牌が祭られている。各宗派の本尊は安置しなくても先祖の位牌だけ祭られている家が多い。我が家の仏壇には御先祖のお位牌と共に観世音菩薩像が安置されている。

日本の家庭に安置されている仏壇の「仏」とは祖霊のことであり、仏壇とは祖霊の祭壇なのである。「近い先祖は仏様。遠い先祖は神様」といわれる所以である。「死んだら仏になる」とも言われる。機械などが壊れて使い物にならなくなると「お釈迦になった」と言う人もいる。これはお釈迦様に失礼である。結婚式などの慶事は神式で行い、葬式などの祖霊への慰霊は仏式で行っている。「仏さまのような人」というのは最高の褒め言葉である。しかし、三波春夫は「お客様は仏さまです」とは言わなかった。

 

日本国は仏教国ともいわれているが、日本人の大多数は難解な仏教の教義を学び信じているのではなく、祖霊への崇拝と感謝を仏教の形態で行い、現世の幸福を祈っているのである。教義の研鑚・修得は出家した僧侶が寺院内で行うに止どまった。

日本伝統信仰(神道)と仏教は当然別の宗教である。しかし、日本人は日本伝統信仰と外来の仏教を生活の中で融合してしまっている。それは日本人が外来の仏教を日本人の精神生活に合致するように包み込んだということなのである。これは日本人の寛容性であり、包容力であると共に、日本人の強靱さといってもいいだろう。

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